推論をたどる

‐中国の反日デモを読み解いてみる‐




推論をたどる



 人は、直接そのことを知っていない、あるいは見ていないことでも知ることができます。新聞やテレビを見ればいい。ネットや雑誌、口伝えでも情報は手に入る。100%正しいと言えなくても、いちおうは知ることができる。

 どこにも情報のないことは知りようがないのかというと、必ずしもそうではない。いくつかの確実な事実をもとに推論することができる。


 推論の例として挙げるのにちょうどいいのは中国人のこと。僕は中国へ行ったことがなく、中国人と会話したこともありません。純粋に推測として考えることができます。

 たとえ会ったことがなくても、中国人がどんな人たちであるかをぜんぜん知らない日本人はいないでしょう。各種メディアから受け取る印象から、おおよそのことは推測できます。大手のメディアが100%正しいわけではありませんが、いろんな方面からの情報を総合すればアウトラインぐらいはつかめます。

 中国人の日本人に対する反応のあり方に違和感を覚えませんか。中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件以前から、彼らのリアクションについては興味深く見ていました。日本人の目から見て、なぜあんなに激しいのかと思うことないですか。

 劣等感の非常に強い人はその反作用としてプライドも異様なほど高くなります。これは一個の人間についてですが、民族全体に関してもあてはまる。中国は歴史も古く、大国であり、かつては文化的に先進国だったという自負がある。今は開発途上国。日本から途上国援助をいまだにいただいている立場です。日本に対して強いコンプレックスを持っています。日本を見下す心理は、日本より立ち後れているという意識と表裏の関係にある。彼らのナーヴァスな心理は、これだけでは十分に説明しきれていません。


 中国人のデモに関する報道は、取材規制と人民の口封じのため、背景の真相に到達できていません。わかっていても書けないことがあるし、報道関係者が認識を誤っていることもある。

 通常のデモは、少数の民族派団体が海外メディア向けに目立つよう仕組んでいる。民族派団体には政府筋のお墨付きがついている。外国を自国の思い通りに動かすための脅しを目的とした「やらせ」です。愛国組織と呼ばれる影の組織が人民をデモに駆り出しているといわれている。実体はわかりませんが、国軍がかかわっている可能性がある。

 反日デモのような排外的な動きの背景には、中国企業の思惑もからんでいる。進出してきた強大な外国資本にやられてしまうのではと、危機感を抱いています。だからことあるごとに排外的なデモを煽って外国企業にぶつける。商業性反日と一部で呼ばれている。デモといってもいろんな要因が背景にあり、一筋縄ではいかない。


 2010年10月に発生した反日デモは、それまでのとちょっと様子が違っていました。2005年4月に発生した大きな反日デモは政府コントロール下にあった民族派デモです。今回のはコントロールを超えて広がってしまった。慌てて制御しようと、沈静化に躍起になっていました。

 ちなみにその二つのデモの間には反日デモは起こっていません。2006年8月15日に小泉首相が靖国神社を参拝しても、デモは起きなかった。デモが政府の対外政策上の道具として完全に制御されていたことの証です。

 今回の報道では、反日デモを口実として、社会的不公平や特権階級の不正、高い率のインフレなどについて訴えている、とある。それが正しいのかどうかはひとまず置く。中国に内在しているこれらの問題がかなり深刻なのは事実です。

 自発的なデモ参加など、今の中国ではできないはずですが、騒ぎに乗じて訴える、ぐらいはやるでしょう。政府の締めつけがどんどん厳しくなっている中、ぎりぎりのところでせめぎあっている。そんな状況が見えてきそうです。


 中国経済は一見順調に見えてその実、不安要因が多い。中国経済をになってる要素に偏りが大きい。中国経済をになう三つの柱は、国営企業・外国資本・輸出。私営企業の力がきわめて弱い。国内資本による健全で公平な競争が存在していない。すべてが輸出に向かい、内需が極度に貧弱。情報環境に制限が多く、外国との間に情報格差がある。

 中国はタテマエ的には共産主義国家ですけど、見たまんまを言えばただの独裁政権による資本主義国家です。このことは誰も異論ないでしょう。

 経済開放と国内締めつけとを並行してやっているわけですが、微妙なバランスによる舵取りが難しくなってきています。ネットで外部情報の多くを遮断し、国内からの発信も制限するというやり方でこれからの情報社会を生き抜くことができるのか。


 メディア情報+怪しげな情報+憶測。推論は見えないものを覗き見ることに似て、捨てがたい楽しみがあります。単に妄想をたどって遊んでるだけなのかもしれません。

 現場を見なくて判断しているのだから、見当違いは当然あるでしょう。しかし、すべての事象がその推論によって説明しきれる場合は、その推論が正しい可能性はきわめて高い、と思います。

ひょっこり通信 2011.3.13




中国の未来予想図

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