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Contents
 ・『マリア』
 ・朝日ベストの裏ベスト
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◎ 公開中の新作から……… 『マリア』  2006年度作品
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 原題:The Nativity Story(生誕の物語)
 監督:キャサリン・ハードウィック
 出演者:ケイシャ・キャッスル=ヒューズ、シアラン・ハインズ、オスカー・イザーク

 『ブラック・スネーク モーン』が個人的には大当たりだったんだけど、これはき
わめて私的なヒットだと思う。で、『マリア』を紹介。

 キリスト生誕の物語。映像的によくできた映画で、予告篇を見てぜひ観ようという
気になった。ていねいな作り方をしていて、時代や土地の空気がよく出ている。本物
を知ってるわけではないので、そう感じてるだけですが。

 ナザレの貧しい人々の生活をていねいに描いている。王の圧政に苦しむ姿も。この
映画は本質的に布教映画だと思うんだけど、裏読みすれば、キリストを生んだのはマ
リアではなく、ヘロデ王だとこの映画は語っていることになる。救世主の到来を信じ
なければ生きてはゆけなかった人々の願望がキリストを生んでいる。

 マリア役のケイシャ・キャッスル=ヒューズは撮影当時、15〜6歳。ごく普通の
田舎娘としてのマリアを好演している。可愛らしいが、神々しいまでの美しさはない。
リアルにするため、あえて汚してさえいる。バチカン公認の映画らしいが、この点は
高く評価できる。信者にとっての母なるイメージを覆し、特別な人間じゃない普通の
女の子にしてしまったわけ。だから映画は本国米国で興行的にコケたわけだが。

 生誕伝承にどれだけ肉付けをしてるのかは、この説話に明るくないので知らない。
大筋では伝承をなぞってるみたいだ。マリアやヨセフが実在したかどうかもよくは知
らない。二千年前の話で、キリスト教の宗教説話だ。そのまま事実として受け取るこ
とが危険なことは言うまでもない。

 映像的には大満足なのだが、話はやや物足りない。元の説話から踏み外さないよう、
慎重になりすぎているのだろう。大胆にエピソードを加えるということをしていない。
そのへんがメル・ギブソンの『パッション』とは違う。

 作り手がつけ加えたのは、マリアとヨセフの夫婦関係にある。自分の子じゃない赤
ん坊を腹に宿した妻に、ヨセフは献身的に尽くす。そりゃありえないよと言われそう
だが、このあたりにハードウィック監督の考えがありそうに思う。



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◎ こういうの、観てもいいのかな、という映画
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『テラビシアにかける橋』
 1月26日公開 2007年度作品 監督:ガボア・クスポ
  原作:キャサリン・パターソン

 公開日が決まってないころ、No.14にも書きました。

 公開が近づいてくると、少し不安も出てきました。原作がよすぎるだけに、ついつ
い比較してしまい、見劣りするのではないかと。頭をまっさらにして観る必要があり
そうです。



『28週後…』
 1月19日公開 2007年度作品 監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ

 『28日後…』の続編。

 よくよくゾンビ映画が好きなのだなと思う。『バイオハザード3』よりはずっと出
来がよさそうだ。



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◎ 映画雑話……… 朝日ベストテン映画の裏ベストテン
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 朝日のベストテン映画を見て脱力しました。これはちょっとないんじゃないですか。
毎年同じことを思ってる気もする。いちおう挙げときます。ちなみに対象は、今年の
正月以降、関西で公開された映画です。

  《外国映画》            《日本映画》 
 長江哀歌              天然コケッコー
 孔雀−我が家の風景         カッパのクゥと夏休み
 ゾディアック            それでもボクはやってない
 パンズ・ラビリンス         松ヶ根乱射事件
 善き人のためのソナタ        市川崑物語
 ボーン・アルティメイタム      サイドカーに犬
 呉清源 極みの棋譜         サッド ヴァケイション
 バベル               転々
 ドリームガールズ          赤い文化住宅の初子
 デス・プルーフinグラインドハウス  人が人を愛することのどうしようもなさ

 ちょっとムカついたので、同じ対象作の中から裏ベストを作りました。僕が観たも
のから、上記から外れているもの。順位はなしで、五十音順。上記の中で『パンズ・
ラビリンス』『善き人のためのソナタ』『それでもボクはやってない』は僕も異存な
いのですが、挙がってるので外してます。

  《外国映画》            《日本映画》 
 愛されるために、ここにいる     アヒルと鴨のコインロッカー
 あるいは裏切りという名の犬     歌謡曲だよ、人生は
 硫黄島からの手紙          キサラギ
 イノセントワールド 天下無賊    しゃべれども しゃべれども(朝日の次点)
 題名のない子守唄          神童
 007カジノ・ロワイヤル      鉄コン筋クリート
 墨攻                長い散歩
 麦の穂をゆらす風          武士の一分
 約束の旅路             腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
 ロッキー・ザ・ファイナル      夕凪の街 桜の国

 どっちのベストが魅力的に見えますでしょうか。僕が観たものだけで、朝日の外れ
から選んだベストですから、多少の不利は否めません。それでも負けてはいないと思
うのですが。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
───────────────────────────────────────

 デジカメが必要になってきて、ぼちぼち買おうかと思ったんですが、その前にひょ
っとして誰か不要なデジカメをもっておられるかもしれないと思い、お願いしてみる
ことにしました。もし不要であれば、お譲り願えれば、と。

 ほしいのはUSB接続の可能なデジカメです。それならiMacやPowerBookG4
に接続可能と思います。以前持ってたのは接続が違うやつで、使えなくなりました。

 ぜんぜんないようでしたら、買いに行きます。


『ミッドナイトイーグル』‥‥‥‥‥‥‥‥意外と普通に楽しめた
『ブラック・スネーク モーン』‥‥‥‥‥C・リッチにメロメロ
『エクスクロス 魔境伝説』‥‥‥‥‥イケイケノリノリのホラー
『イラク 狼の谷』意外や意外、これは楽しめるトルコ映画でした
『タロットカード殺人事件』‥‥‥‥むちゃくちゃおバカで楽しい
『この道は母へとつづく』‥珍しくロシア映画にひたっていました
『夕凪の街 桜の国』‥‥没入。観終わっても、映画は終わらない
『壁男』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥まじめすぎて怖くないホラーの見本
『4分間のピアニスト』‥‥‥‥‥‥‥凄みのある音楽映画でした
『モーテル』‥‥‥‥‥‥‥‥迫真のスリラーで、入り込みまくり
『アズールとアスマール』‥超美麗の寓話アニメーション、必見!
このあとは『テラビシアにかける橋』に期待
 

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 極 ┃      ┃┃   ┃
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No.┃      ┃┃    ┃不定期刊
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前回、間違ってメアドをToに入れて送ってしまいました。許して。
Contents
 ・『タロットカード殺人事件』
 ・ビーバーの『ロザリオのソナタ』
 ・CINEMAテーブルの誤植
───────────────────────────────────────
◎ 公開中の新作から……… 『タロットカード殺人事件』  2006年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:ウディ・アレン
 出演者:スカーレット・ヨハンソン、ウディ・アレン、ヒュー・ジャックマン、イ
アン・マクシェイン

 殺された新聞記者(イアン・マクシェイン)が幽霊になって現われ、女子大生(ス
カーレット・ヨハンソン)に犯人を教える。女子大生は老手品師(ウディ・アレン)
と組んで犯人にアタックしていく、という筋書き。

 ミステリーではありません。コメディです。ミステリーとして観たら穴もあるし、
凡庸に感じるかもしれません。傑作とは言えないけど、「ちょっと観てごらんよ」と
吹聴したくなる映画です。

 魅力はヒロインのスカーレット・ヨハンソンに集約されるけど、久々に出演してい
るウディ・アレンもやけに元気いっぱいです。前作『マッチポイント』に続いて起用
したヨハンソンがよほどの回春剤となったようです。相手の年齢が三分の一未満だし、
ヴィジュアル的にもあり得ない組み合わせなので、さすがに恋人の役ではありません。

 観る前はこの二人の組み合わせはミスマッチと思ってました。が、なかなか息が合
ってます。まるで掛け合い漫才コンビです。ウディ・アレンの映画でこんなに笑った
の、記憶にありません。

 メガネ顔はヨハンソン自身の発案だそうですが、似合ってる。メガネフェチは必見
ですよ。ちょっとボケなキャラもぴたりとはまっている。シリアスだった『マッチポ
イント』からの変身は、計算もあるんだろうけど、成功している。同じようにヨハン
ソンが手品師とからむ『プレステージ』との関連は何もありません。制作時期が近す
ぎて、パロディとして取り込むことはできなかったんでしょう。


 スカーレット・ヨハンソンは女優ではニコール・キッドマンに次いで売れっ子ナン
バー2ながら、ハリウッドのメジャー映画にあまり出ていない。出たのは『アイラン
ド』ぐらい(観てません)。何か戦略的な考えでもあるのか。たぶん、ハリウッドの
大作がどれもつまらないという、ごく単純で明瞭な理由からではないでしょうか。

 低迷していたアレンが前作から急に生き生きしてきたのは、ヨハンソンのおかげな
のは間違いありませんが、ヨハンソン自身は今後のステップアップの踏み台にと思っ
て、ドライに考えてるかもしれません。アレンはいつまでも色ボケなじいさんですが、
見捨てられたらがっくりくるだろうなあ。ちなみに来年公開予定の新作もスカーレッ
ト・ヨハンソン主演です。まだ続いてる。




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◎ こういうの、観てもいいのかな、という映画
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『ブラック・スネーク モーン』
 12月15日公開(京都) 2006年度作品 監督:グレイグ・ブリュワー

 「レッドスネーク、カモ〜ン」東京コミックショーのショパン猪狩かと思いました。

 思いきりB級な構えなんですが、ヒロインがクリスティーナ・リッチなんです。そ
れだけでグレードがぐっと上がります。リッチがセクシーヒロインということで、ど
んなもんかと気になるのです。

 黒人男(サミュエル・L・ジャクソン)がビョーキ女を鎖で監禁するというお話。
予告篇で観る限り、むちゃくちゃ面白そうです(エロ系ではない、念のため)。

 12月最大の期待作と言って、過言ではないでしょう。というか、今年の12月か
ら正月までは異常なほど不作ですよ。そう思いません? 他に『マリア』『僕のピア
ノコンチェルト』『中国の植物学者の娘たち』がありますが、それぐらいです。ミニ
シアター系以外は壊滅です(強いてあげれば『魍魎の匣』があるが)。

 来年に入ると少しは明るい兆しが見えますが、それらはまた後日紹介しましょう。



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◎ 最近の一枚 ……… ビーバーの『ロザリオのソナタ』
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 ヴァイオリン:スザンヌ・ローテンバッヒャー VOXBOX CDX 5171

 ハインリッヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバー。バロック音楽なんです。
ヴァイオリン・ソナタ(全16曲)です。見方によればバッハの無伴奏ヴァイオリン、
コレッリのヴァイオリンとチェンバロのためのソナタと並ぶバロックのヴァイオリン
曲集かと思うんだけど、意外に思うほど知られていない。

 僕もわりあい最近その存在を知ったのだけど、「こんな曲がまだ片隅に埋もれてた
のか」という思いを抱きました。実際、ショップにほとんど置いてない。大きな店に
一セットあるか、という程度。

 表題に「一枚」としてるが、ほんとは二枚です。二枚組で1600円だったのです。
いったいどこでこの曲を知ったのかなと思うが、たぶんネットで調べものをしてるう
ちに見つけたんだと思う。久々の大ヒットでした。


 映画以外に音楽のネタも取り上げてみたくなりました。最近のとびきりの一枚とい
うやつを時々拾い上げていきましょう。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… CINEMAテーブルの誤植
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 CINEMAテーブルの誤植です。わりあい少なかったんですけど、大きいのはい
くつかありました。

 まず、表紙。
 参加者 22人 → 20人
 掲載映画本数 580本 → 472本
 掲載短評本数 828本 → 775本
 アプリケーションの障害により、表紙の版下を作り直したとき、前年の数字が残っ
てしまいました。全体的に前年より減ったことが明白です。

 『パッチギ! LOVE & PEACE』のがん太さん評 6.5点 点数がもれていました。
 『16ブロック』 勘違いして、「さー」のところに入ってます。
 『海と夕日と彼女の涙』 → 『海と夕陽と彼女の涙』

 あとは漢字の変換ミスぐらいです。

 元原稿にあるタイトルは、少しでも怪しいと思ったら確認してますので、タイトル
のミスは減りました。微妙なものを含め、原稿のタイトルの誤りは多いです。エリザ
ベス2世を描いた映画、『クイーン』は正解と思われるかもしれませんが、正しくは
『クィーン』です。検索エンジンは仮名の大文字・小文字を別文字扱いしますので、
つまらないところでアクセスを下げてしまうことがあって、注意する習慣がついてい
るんです。

 『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』も惜しいですが、正解は『ヱヴァンゲリヲン新
劇場版:序』。違いがわかりますでしょうか?

 僕自身も参考の一覧リストを作ったとき、『初恋の雪 ヴァージン・スノー』とや
ってしまいました。正解はおわかりでしょうか? iMDbという海外のデータベー
スサイトでは"Hatsukoi no yuki: Virgin Snow"となっていました。同じ間違いをしてる
のが不思議です。


「映画未使用名曲」12.1 アルベニスの『入江のざわめき』
「ボツ画供養塔」11.21 ドラムセット
「風光明媚」11.20 天王山
「船越屋新製品」11 .17「ルーペつき辞典」
「御漫画」11.16 怪盗リパッケージ
「出版案内」11.16 CINEMAテーブル2007年度版発行

『タロットカード殺人事件』‥‥‥‥むちゃくちゃおバカで楽しい
『この道は母へとつづく』‥珍しくロシア映画にひたっていました
『夕凪の街 桜の国』‥‥没入。観終わっても、映画は終わらない
『壁男』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥まじめすぎて怖くないホラーの見本
『4分間のピアニスト』‥‥‥‥‥‥‥凄みのある音楽映画でした
『モーテル』‥‥‥‥‥‥‥‥迫真のスリラーで、入り込みまくり
『アズールとアスマール』‥超美麗の寓話アニメーション、必見!
『ボーン・アルティメイタム』‥水準は高いが、ややマンネリかも
『雲南の少女 ルオマの初恋』‥‥‥‥‥‥‥美しい、珠玉の名品
 

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 極 ┃      ┃┃      ┃
 楽 ┃ ┏━━┓ ┃┃ ┏━━┓ ┃2007.11.16
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Contents
 ・『ボーン・アルティメイタム』
 ・CINEMAテーブル制作裏話
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◎ 公開中の新作から……… 『ボーン・アルティメイタム』  2007年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:ポール・グリーングラス
 出演者:マット・デイモン、ジョアン・アレン、デヴィッド・ストラザーン、アル
バート・フィニー、ジュリア・スタイルズ、スコット・グレン ほか

 シリーズ第三作。二作目あたりからすでにロバート・ラドラムの原作からは離れて
るらしい。読んだのはずいぶん昔で、覚えてなくて、どのあたりまでが原作なのかわ
からなくなってます。

 監督は前作と同じですが、それが作品の長所短所、両面に表れた。サウンドもアク
ション演出も重厚です。ごつい岩が衝突するかのような重量感あるアクション感覚は
前回と同じなので、悪く言えば新味がない。シリーズ作品の新作は、観る側にプラス
アルファを求める気持ちが生まれるので、前作と同じではマイナス評価になってしま
います。


 どういう話かを書いてなかった。CIAに記憶を消され、暗殺兵器に作り替えられ
てしまった男が、自分とはいったい誰なのかと、探ろうとする。CIAは、彼の存在
が公になるのは致命的なので、抹殺しようとする。そんな話です。

 シュワルツェネッガーやスタローンのような、これ見よがしに筋肉を誇示するタイ
プではないマット・デイモンがその男。普通体型の彼がシュワルツェネッガー並みの
重たいアクションをこなすところに意外感があった。これも三作目ともなると意外感
はない。

 一匹狼の彼がCIAの殺し屋を片づけていき、CIAの裏をかいていく部分はこれ
まで通り、痛快だ。責任者役のデヴィッド・ストラザーンは、してやられたときの
「くそっ!」という顔が、これ以上ないほど似合っている。

 いかつい顔した役者が大半を占める中、ジュリア・スタイルズはヴィジュアル面で
オアシスのような存在だった。三作ともに出演してるのはマット・デイモンと彼女だ
け。一作目は端役だったが、今回はきわめて重要な役に昇格している。

 彼女、見映えする顔なんだけど、あまりにも大映ししすぎです。大スクリーンから
顔の三分の一もはみ出す大映しなんて、のけぞってしまいます(笑)。


 評価しないような書き方になってしまいましたが、水準はきわめて高いので、お薦
めできる作品です。



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◎ このあとの、観ちゃっていいのかな?映画
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『イラク 狼の谷』
 12月1日公開(京都) 2006年度作品 監督:セルダル・アカル

 トルコ兵がイラクの米軍をたたきつぶす娯楽映画。面白いそうだが、ほんとに観る
値打ちのある映画かどうかはなんとも、と思っている。



『この道は母へとつづく』
 11月17日公開(京都)2005年度作品 監督:アンドレイ・クラフチューク

 ぐっ、ときそうな予感。ひそかに期待している。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… CINEMAテーブル制作裏話
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 CINEMAテーブルはすでに完成し、執筆者の方々と、注文いただいた方へは発
送しています。今回はいろんなトラブルが重なって、少々の遅れが出ました。その上、
送料節減のためクロネコメール便に切り替えたので、1〜3日ほど配達に遅れが出る
模様です。あとしばらくお待ちください。

 パソコンのハードディスクは壊れ物という認識があるので備えはしてますが、なに
もこんな時期にオシャカにならなくていいじゃないかと思う。修理が完了するまで、
PowerBookG4へデータなど制作環境を移して作業したが、使い慣れないものは微妙
に使いづらい。

 HD障害直前までのデータをMOにバックアップしてましたから、損害は修理代金
と作業の遅れのみです。仕事でパソコン使ってる人で日常的なバックアップをとる習
慣のない人は多そうです。僕はそういうおそろしいこと、絶対できません。

 今はiMacが戻ってきてますので、ほぼ完全に現状復帰です。トラブルやミスは
今年、例年になく多かったけど、すべて挙げると長くなるので割愛します。

 年齢的に無理できなくなってますので、遅れても急がないことにしました。自分に
対して「あまり頑張るな」と言い続けてるのです。でないと、ガーーッとやってしま
うたちですから。

 編集とは関係ないんですが、古いボロ靴のせいで足指の関節を傷め、炎症を起こし
てしまいました。医者は「腫瘍じゃない」と言ってるので、そのうち治るんでしょう
けど、年のせいか、治りが遅い。

 靴は即買い替えて、厚手のスチロールペーパーがあったので中敷を作って入れ替え
ました。腫れてる部分のスチロールをくりぬいたのです。靴下用にも作った。病院の
業者に同じものを作らせると、目の玉が飛び出る値段になるのです。


 今年は幸い、原稿の到着が全体的に早かった。日ごろからねちねちと言ってたのが
功を奏したのでしょうか。メール送稿に切り替わって以降、去年までは〆切日の10
月31日の夜に殺到してたのです。僕はたいがい10時に寝るので、どうしようもな
く、作業はすべて翌日以降に持ち越してたのです。

 去年まで、〆切日なんてものは、静まり返っておそろしくヒマです。三年前は、柿
ピーの袋を開いて、中身をより分けながら数えてました。柿の種204、ピーナツ1
01。2:1の比率になってる! こんなことに感動しててどうすんだ!


 アプリケーションのトラブルが影響したんだけど、完成直後に誤植を発見し、がっ
くりきました。それも表紙。僕以外にとっては発見しづらい誤植です。わかりますか
ね。

 メール便に切り替えたと書きましたが、5部以上の方へは郵便局の冊子郵便で送り
ましたから、ちょっと早く届くでしょう。厚みが2センチを超えると冊子郵便のほう
が安くなるんです。

 ちょっと遅れましたが、到着予定の方は楽しみに待っててください。ばたばたとや
ったせいか、封入時に一人だけ一筆箋を入れ忘れました。どなたか、ハズレがありま
す。


『ボーン・アルティメイタム』‥水準は高いが、ややマンネリかも
『雲南の少女 ルオマの初恋』‥‥‥‥‥‥‥美しい、珠玉の名品
『長江哀歌』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥なんだか演出態度がまるで巨匠
『自虐の詩』‥‥‥‥‥‥‥きっちり感動させられてしまいました
『ヘアスプレー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥問題意識が貧しすぎる
『クワイエットルームにようこそ』すばらしいシリアス・コメディ
『低開発の記憶 メモリアス』‥‥‥期待するほどのものではない
『トランシルヴァニア』‥‥‥‥‥ロマの音楽世界に酔ってしまう
『パンズ・ラビリンス』‥‥心に大きなものが残ってしまいました
『題名のない子守唄』‥‥‥‥‥‥‥‥‥熾烈なサスペンスの秀作
『こわい童謡 表の章&裏の章』‥‥‥‥少々生真面目すぎました
『殯の森』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥どんな映画か忘れてしまいました
『ボルベール〈帰郷〉』‥‥‥‥‥‥‥‥ラテンでは女は度胸だ!
このあとは『この道は母へとつづく』に期待
 

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Contents
 ・『クワイエットルームにようこそ』
 ・あの人は、今・・・
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◎ 公開中の新作から………『クワイエットルームにようこそ』 2007年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:松尾スズキ
 出演者:内田有紀/蒼井優/宮藤官九郎/りょう/妻夫木聡/大竹しのぶ/中村優
子/高橋真唯/馬渕英里河/筒井真理子/塚本晋也/俵万智/しまおまほ/しりあが
り寿/庵野秀明

 来年3月まで毎月20日、MOVIXチェーンの映画館が千円なのです。最大限利
用させてもらおうと思ってます。なにせ、男性は毎週水曜千円になりませんので(恨
み節?)。

 今月は封切初日と重なった2本を観ました。初日だから観たわけじゃなく、かなり
選んだつもり。しかし米国で大好評の『ヘアスプレー』は僕的にハズレ。米国人の好
みや精神風土と、僕のそれとの違いを計算に入れてませんでした。米国人は物事を単
純化して、気楽に楽しむことが本質的に好きなんだと思います。


 もう一本の『クワイエットルームにようこそ』は大当たりでした。多忙な風俗ライ
ター(内田有紀)が、ある日目覚めたら精神科の閉鎖病棟に放り込まれていた、とい
う話です。おまけに両手両足を拘束されている。そこから懸命に娑婆へ戻ろうとする、
彼女の自己回復の闘争の物語です。

 精神科の閉鎖病棟というと『カッコーの巣の上で』が思い出されます。あの映画で
は病院のシステムを問題視した作りになっていました。『クワイエット〜』は病院の
問題点に関しては一切触れていません。病気は個々人それぞれの内部にあるものとい
う捉え方です。患者の病態は一人一人違います。先生や看護婦も一人一人違う。中に
は患者かと思うような医者もいたりするわけですが。類型的で、十把一からげな米国
映画の人物キャラとは違う。

 問題の原因を外に求めるのではなく、自己の内側に求めるという態度は正解と思い
ます。それぞれ個別に原因がある。だから画一的な診断法は存在せず、一筋縄ではい
かない。彼女は最初、自分の病気そのものに気づいてなかったので、知ることから始
めなければならなかった。自分の病気を認め、向き合うことによってでしか回復はあ
りえない。

 こんなふうに書いてると、よほど深刻な映画のように見えるでしょう。この映画は
コメディでもあるのです。こちらが発狂しそうになるほど悲惨な笑いがちりばめられ
ている。病人をからかうような類の笑いではないが。

 最終的に彼女は、入院患者全員から祝福されて(「また戻ってらっしゃい」と、優
しく)退院するのです。退院してもけっして楽観できない現実を、エンド近くで暗示
させている(ネタバレになるので具体的に書けない)。このエピソードが大きな重み
を持つ。彼女はこのあと、どうなるんだろうという思いが残る。


 大スターこそそんなに出てないんですが、贅沢な配役だと思う。見事なアンサンブ
ルで、文句なし。例によってあらゆる役柄を楽々とこなしてしまう高橋真唯は、拒食
症の十代の役です。いちいち挙げないけど、男優、女優、みんないい。『腑抜けども、
悲しみの愛を見せろ』と並び、今年の収穫の一本になりました。



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◎ このあとの、観ちゃっていいのかな?映画
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『ボーン・アルティメイタム』
 11月10日公開 2007年度作品
 監督:ポール・グリーングラス 原作:ロバート・ラドラム

 ジェイソン・ボーンのシリーズの第3作です。

 マット・デイモンが日本で人気ないのはその顔ゆえだろう。しかし『オーシャンズ』
シリーズを除き、その出演作が際立って高い水準にあることを知ってほしい。

 このシリーズはほとんど安全パイのようなものなので、かえって期待がふくらんで
こない。



『エディット・ピアフ 愛の讃歌』
 9月29日公開 2007年度作品 監督:オリヴィエ・ダヤン

 1日の映画の日まで続映なら観に行きます。ピアフをまったく知らないので、興味
のとっかかりが乏しいのです。

 身長169センチのコティヤールが140センチのピアフを演じる、だけの興味で
観るわけにはいかないのです。


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◎ 映画雑話……… あの人は、今・・・
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 アシュレイ・ジャッド、サンドラ・ブロック、ジーナ・デイヴィス、ジェームズ・
スペイダー、ピアース・ブロスナン、トム・ハンクス、ケヴィン・ベーコン、ジュリ
ア・ロバーツ、メグ・ライアンなどなど。一時はトップスター級だった人たちの出演
作品を見かけなくなりました。今は何をしてるのかと、海外のデータベースサイトを
覗いてみました。

 仕事にあぶれて酒におぼれている、わけではありませんでした。みんな毎年のよう
に映画に出ていて、制作中、あるいは公開待機作品もある。入ってこないんですよ、
日本に。

 ハリウッドスターのネームヴァリューのみに頼った映画が日本ではおおむね不振で
す。その傾向は米国でも同様なのですが、ハリウッド映画は企画のネタ詰まりで、ス
ターヴァリューに頼るしかないという側面もあって、名のある俳優は重用されていま
す。ハリウッドの企画詰まりに関しては、海賊版対策が遠因としてあるそうですが、
そのあたりはまたいずれあらためて書きます。

 個人的にはスターが固定するより、フレッシュな才能が次々出てきて、新陳代謝の
ある状態のほうが嬉しい。新顔といえば、『ザ・シューター』『ブロークバック・マ
ウンテン』のケイト・マーラとか、『キャンディ』『プロヴァンスの贈りもの』のア
ビー・コーニッシュ、『テラビシアにかける橋』『リーピング』のアナソフィア・ロ
ブあたりに注目してます。って、女優ばっかしですが・・・。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 メアドを変更してから、新アドレスへはスパムが届かなくなりました。

 HPには捨てアドを表記し、スパムが多くなってきたら取り換える、で対処します。
スパム屋に拾われにくいよう、文字変換して表示してますが、効果は限定的なようで
す。


「じふアニメ」10.14 「horizontal」
「映画未使用名曲」10.1 湯山昭の『お菓子の世界』
「ホットラインの御漫画」9.28「棚ぼた総理」
「ボツ画供養塔」9.25「ウニ」
「壁紙ギャラリー」9.23 ワンちゃん
「出版案内」9.15 ひょっこり通信発行
「ホットラインの御漫画」9.14 「職を賭す!」
「船越屋新製品」9.11 「ボトルクリーナー」
「山歩き・里歩きMap」9.9 「嵐山←清滝→高雄」

『ヘアスプレー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥問題意識が貧しすぎる
『クワイエットルームにようこそ』すばらしいシリアス・コメディ
『低開発の記憶 メモリアス』‥‥‥期待するほどのものではない
『トランシルヴァニア』‥‥‥‥‥ロマの音楽世界に酔ってしまう
『パンズ・ラビリンス』‥‥心に大きなものが残ってしまいました
『題名のない子守唄』‥‥‥‥‥‥‥‥‥熾烈なサスペンスの秀作
『こわい童謡 表の章&裏の章』‥‥‥‥少々生真面目すぎました
『殯の森』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥どんな映画か忘れてしまいました
『ボルベール〈帰郷〉』‥‥‥‥‥‥‥‥ラテンでは女は度胸だ!
『夜の上海』‥ヒットしてないのがもったいないグッドなラヴコメ
『アーサーとミニモイの不思議な国』‥‥‥‥大人でも楽しめます
このあとは『ボーン・アルティメイタム』に期待
 

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 極 ┃   ┃ ┃  ┏┓  ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃  ┗┛  ┃2007.10.12
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No.┃    ┃┃      ┃不定期刊
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Contents
 ・『パンズ・ラビリンス』
 ・CINEMAテーブルの懇親パーティ報告
 ・短評募集の念押し
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◎ 公開中の新作から……… 『パンズ・ラビリンス』  2006年度作品
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 監督:ギレルモ・デル・トロ
 出演者:イボナ・バケロ、マリベル・ベルドゥ、セルジ・ロペス、ほか

 フランコ独裁政権時代の農村を舞台にしたファンタジーです。軍人である義父(セ
ルジ・ロペス)の赴任地へ引っ越してきた少女オフェリア(イボナ・バケロ)が、妖
精と出会い、魔法の世界にいざなわれて、その世界の王位の継承を求められる、とい
う物語。

 母親が再婚した大尉はフランコ政権の圧制の象徴のような男で、村を支配して、ゲ
リラと疑った村人をちゅうちょなく射殺し、捕らえたゲリラを拷問する。自分と、生
まれてくる予定の自分の子供にしか興味のない冷酷な男。

 オフェリアはこの男がきらいだ。当然だろう。誰だってそうだろう。魔法の世界は、
冷たい現実世界から逃れるための逃避の場であるかのようにも見える。空想に過ぎな
いのだとしたら、彼女は救われない。

 デル・トロ監督は一貫してダークなファンタジー世界を作ってきている。僕は当然
それを期待してたのだが、意外にも力点は現実世界のほうに置かれている。女中頭と
して大尉の屋敷で働きながら、山にひそむゲリラの手助けをしている女(マリベル・
ベルドゥ)が重要な位置に立っている。

 このマリベル・ベルドゥの風貌がすばらしい。黙ってそこにいるだけで過去の歴史
を語ってしまう。調べたが、残念ながら日本に紹介された他の作品はなかった。

 圧制や不正な行為に対して断固戦うという姿勢には無条件に共感する。自分への試
練として、生まれたばかりの赤ん坊(弟)を悪魔(義父)から奪う無垢な少女。強靱
な精神を持って戦い抜こうとする女。この二人が最後にクロスするエンドには泣かさ
れてしまった。



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◎ このあとの、観ちゃっていいのかな?映画
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『クワイエットルームにようこそ』
 10月20日公開 2007年度作品 監督:松尾スズキ

 超多忙な毎日を送る女性ライターが、ある日目覚めたら閉鎖病棟に放り込まれてい
た、というお話。

 内田有紀が主演ですが、役者のアンサンブルがいいように思います。こういうのは
目をつけておくのです。



『低開発の記憶 メモリアス』
 10月10日公開(京都) 1968年度作品
 監督:トマス・グティエレス・アレア

 キューバ映画です。公開は初。

 第三世界に対する関心が最近高まってるのです。『雲南の少女 ルオマの初恋』と
か『クロッシング・ザ・ブリッジ』とか『アズールとアスマール』なんてのもエスニ
ックで気になってるのです。

 タイトルがイマイチでドキュメンタリかと間違えられそうですが、欧米にあこがれ
るキューバ青年を描くドラマです。



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◎ CINEMAテーブルの懇親パーティ
───────────────────────────────────────

 今月の16日にCINEMAテーブル関係者の懇親パーティをやりました。場所は
地元長岡京。総合交流センターの一室。

 脱線して映画と無関係な話にまで突入してゆくのは毎度のことです。だらだらとダ
ベリングしてたら終了予定時刻をオーバーしてて、あわてて片づけました。

 挙がった映画について簡単に書きます。メモも取らず記憶だけなので、不正確とは
思いますし、もれもあるとは思いますが。〔 〕内は、パーティの時点で観た人の数
(それすら間違ってるかもしれない)。


『インランド・エンパイア』〔1名〕D・リンチの映画ですから、「わけわからない」
という感想はすごく納得。

『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』〔2名〕「くだらない」とい
うことで二人盛り上がってました。くだらない映画をとことん楽しめるのは、心のゆ
とりがあるということです。

『300』〔2名〕一人絶賛。それに対して映画の質と無関係な部分に対して厳しい
ツッコミあり。帰ってから僕自身の評を確認したら、絶賛した人の主張を真っ向から
否定してました(つまりツッコミ者に同調)。

『カッパのクゥと夏休み』〔2名?〕ヴィジュアルが悪い。大外れ。という意見。

『キサラギ』〔4名〕僕を除いて大絶賛。僕は留保意見つきで好意的評価。

『しゃべれども しゃべれども』〔2名?〕大絶賛。とにかく楽しめる映画なので。

『天然コケッコー』〔3名〕がっかり一人、いまいち一人(僕)、好評一人。世間的
には絶賛評が多いので、もっと好評意見が聞けるかと思ったのですが。

『アヒルと鴨のコインロッカー』〔2名?〕前半はわけわからん展開だったが、後半
がすごいという点で意見が一致。

『それでもボクはやってない』〔2名?〕いい映画だけど、もう一度は絶対観たくな
い、という意見には僕もうなずく。

『スキヤキウエスタン・ジャンゴ』〔0名〕友だちが出てると言ってスナップ写真を
持ってきた人がいました。

『パッチギ! LOVE & PEACE』〔2名?〕一作目はよかったのに、期待外れという
意見。

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』〔1名〕僕一人ですが、大絶賛。この映画でし
か見られないすごい世界があります。

『殯の森』〔2名〕かなりの好評。

『夕凪の街 桜の国』〔1名〕好評でしたが、何を聞いたか思い出せません。

『武士の一分』〔?名〕好評だったと思いますが、出た話を思い出せません。

『22才の別れ』〔1名〕イマイチ、といった反応です。

『遠くの空に消えた』〔1名?〕自分で何を言ったか忘れてしまいました。

『サッド ヴァケイション』〔1名〕好評のようでした。

『アルゼンチンババア』〔3名?〕明らかに不評です。

『リトル・ミス・サンシャイン』〔1名〕好評でしたが、出た話を忘れました。

『レミーのおいしいレストラン』〔1名〕話が出ていたという気がするのですが。

『ショートバス』〔0名〕いっぱいで入れなくて諦めたそうです。なぜこの映画が満
員?

 圧倒的に日本映画が多い。話題になっていた映画がいっぱいもれてることに気づき
ました(『バベル』など)。公開前の映画の話題はほとんどなしでした。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 すでに募集案内を送ってますが、CINEMAテーブル短評の〆切は今月末です。
よろしく。


『パンズ・ラビリンス』‥‥心に大きなものが残ってしまいました
『題名のない子守唄』‥‥‥‥‥‥‥‥‥熾烈なサスペンスの秀作
『こわい童謡 表の章&裏の章』‥‥‥‥少々生真面目すぎました
『殯の森』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥どんな映画か忘れてしまいました
『ボルベール〈帰郷〉』‥‥‥‥‥‥‥‥ラテンでは女は度胸だ!
『夜の上海』‥ヒットしてないのがもったいないグッドなラヴコメ
『アーサーとミニモイの不思議な国』‥‥‥‥大人でも楽しめます
『ディス・イズ・ボサノヴァ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥少し退屈した
『トランスフォーマー』‥‥‥‥‥映像はいいが、話は物足りない
『河童のクゥと夏休み』‥‥アニメの佳作だが、笑いがほしかった
『ルネッサンス』‥‥‥‥アート感覚のサスペンス劇がすばらしい
『プロヴァンスの贈りもの』‥‥‥‥豊潤なワインのような恋愛劇
このあとは『ボーン・アルティメイタム』に期待

 

極楽news 臨時号2
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 極 ┏━━━━┫ ┗━━━━━┓
 楽 ┃    ┃ ┏━━━┓ ┃2007.8.24
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メアド変えちゃったの臨時号

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◎ 公開中の新作から……… 『天然コケッコー』  2007年度作品
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 監督:山下敦弘(やましたのぶひろ) 原作:くらもちふさこ 脚本:渡辺あや
 出演者:夏帆/岡田将生/柳英里沙/藤村聖子/森下翔梧/本間るい/宮澤砂耶/
廣末哲万/黒田大輔/田代忠雄/大沢 (ネコ)/斉藤暁/大内まり/夏川結衣/佐藤浩
市

 けっこう期待してたのだけど、裏切られた。

 撮影など、映像作品としての完成度は高い。子役をふくめた俳優の演技も文句つけ
がたい。だから一般的には受けはいいんだろう。

 技術的な面よりストーリーを重視して観る僕にとっては、そうとうに物足りない映
画になった。『下妻物語』や『フラガール』ほどでなくても、盛り上がる山場やケレ
ン味、強引に押しまくる展開などがあったほうがいい。

 原作にかなり近づけて作られているらしい。山場もなく、盛り上がらず、軸になる
話もなく、2年間を淡々と描くだけなのは原作どおりなのだろう。

 ストーリーは、島根のド田舎の、小中学校合わせて6人しかいない学校にイケメン
の転校生(岡田将生)がやってきて、ヒロインの右田そよ(夏帆)と仲良しになる。
2年間の経過と2時間あまりの上映時間があって、ストーリーと言えるのはそれだけ。

 通常の映画文法から離れたのは監督の意図なんだろう。夏帆の一本調子な演技も狙
いなのかもしれない。しかし上映時間が長いから、最初は珍しくても、飽きてしまう。

 この映画で、本来柱になるのは二人の淡い恋なんだろうけど、不発に終わっている。
岡田将生演じる大沢広海は性格がいいとはまったく言えず、それは最後まで変化しな
い。おかげで、観ているほうも、演ってるほうもさっぱり盛り上がってこない。

 学校(教室)そのものが主人公になりえたと思うし、そう思わせる部分もある。が、
描写が中途半端で、なりきれていなかった。

 とは言うものの、楽しめる映画であり、見どころも満載なので、観ないより観たほ
うがいいと思う。僕もこの映画に対するいろんな反応を知りたい。



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◎ 観たいとは思わないけど、気になる映画
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『めがね』
 9月22日全国公開 2007年度作品 監督:荻上直子

 絶対観ないと思うが、市川実日子のメガネ顔(予告篇)だけはむちゃくちゃかわい
らしい。

 荻上監督は、一般受けに対する計算があざとくて好きになれない。「こうやっとき
ゃ受けるだろう」という、客をバカにした高慢な制作姿勢が見える。



『インランド・エンパイア』
 公開中(京都) 2006年度作品 監督:デヴィッド・リンチ

 淫乱度エンパイア。誰かが言っていそうだ。3時間近いという長さだし、リンチは
またわけのわからないものを撮ってるんだろう。

 しかし、ホームレス役の裕木奈江がラストで突如現われて、わけのわからないこと
を長々と喋ってるというだけで気になってしまう。そういうわけのわからないものも、
ときには観ていいのかも。



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◎ 映画余話……… 本来書く予定だった映画
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『アヒルと鴨のコインロッカー』
 2007年度作品 監督:中村義洋 原作:伊坂幸太郎

 これはすごい映画でしたが、気持ちが高ぶって、とても文章にできませんでした。
配役もパーフェクト。瑛太も濱田岳も関めぐみも、そして松田龍平も、すばらしい。

 ストーリーはヘタに書くとネタばれする類の映画ですから、前半だけさらっと。純
朴な大学新一年生が引っ越してきたばっかりで、隣の部屋の変な男に誘われ、無理や
り本屋襲撃に引きずり込まれてしまう。

 この前半部分のどこに「ひっかけ」が隠されているのか。それを考えながら観るだ
けでも面白い。けっして軽い映画ではなく、襲撃の背景にあるドラマには、うちのめ
されるほどの衝撃があった。

 中村監督の前作『ルート225』も、大推薦。



『イノセントワールド 天下無賊』 2004年度作品 監督:フォン・シャオガン

 香港のアンディ・ラウと、台湾女優のレネ・リウ主演の中国映画です。

 背景となる内モンゴルの映像には目を奪われるが、役者たちの充実ぶりもまたハイ
レベルだった。

 話は、純朴な(上記の純朴を百倍にしたような純朴)モンゴル人青年が里帰りする
際に持ち帰る大金をめぐって、スリや盗賊団や警察が入り交じり、死闘をくり広げる、
というもの。

 純朴青年は周囲で起こっていることになにひとつ気づかず、「世の中、泥棒なんて
悪い人はいないんだ」なんて、能天気なことを言う。これがタイトルの意味になって
いる。今どきこんな純朴、チベットでも絶滅してると思うが。



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 あとがきのかわりに、最近のこと……
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 今回は同報送信ではなく、個別に配信しました。同報送信だと、メールサーバの設
定などにより、迷惑メールに振り分けられてしまうことがあるからです。

 これは極楽news配信先への個別送信です。これまで17号まで配信しています
が、届いてない方はお知らせください。

 メールアドレスは、昨日変更しました。旧アドレスに送ってもいちおう届きますが、
スパムメールに紛れ込んで不明になる確率は高いです。一か月たったら、旧のメール
フォルダそのものがなくなるので、不着で送り返されます。

 メールは新アドレスのほうに送ってください。また、アドレス帳やグループアドレ
スの登録をしていただいている方は、変更をお忘れなく。

 実を言うとこのメルマガ、18日に送信するはずが、メールソフトのトラブルで今
日まで延びていました。受信はOKで送信のみのトラブルでした。


 このあと、9月末まではたいして観る映画がなく、しばらく配信がお休みになるか
もしれません。9/16(日)のCINEMAテーブル懇親パーティ(長岡京市総合
交流センターで)は、近隣の方へはすでに案内をすませています。これが最後の確認
メールになると思いますので、日程と場所の勘違いのないよう、よろしく。


「変神探訪」8.22 「宗忠神社の狛犬」
「船越屋新製品」8.13 「笑いのノロ人形」
「映画未使用名曲」8.1 伊福部昭の『日本狂詩曲』
「ホットラインの御漫画」7.30 「地獄落ち内閣」
「極楽貧乏」7.13 「タロー君が走る」
「船越屋新製品」6.23 「梅雨どき速乾シューズ」
「長岡京市立図書館の棚から」6.11 北村薫『スキップ』『ターン』
「ボツ画供養塔」6.11 「渦と嵐」

『ルネッサンス』‥‥‥‥アート感覚のサスペンス劇がすばらしい
『プロヴァンスの贈りもの』‥‥‥‥豊潤なワインのような恋愛劇
『遠くの空に消えた』‥‥‥‥‥‥‥‥幼稚すぎて、ついていけん
『街のあかり』‥‥‥‥‥‥‥‥‥哀愁の色濃すぎて、救われない
『天然コケッコー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥意外だったハズレ映画
『イノセントワールド天下無賊』‥一見の価値ある犯罪映画の秀作
『サイドカーに犬』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ドラマにインパクトが不足
『ジーニアス・パーティ』先鋭的な日本のアニメの質の高さを実感
『アヒルと鴨のコインロッカー』‥かなり尾を引いてしまいました
『キサラギ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥爆笑のシチュエーションコメディ
『憑神』‥‥‥‥‥メジャー映画では珍しく納得印の秀作コメディ
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』‥地獄絵の中に爽快感あり!
このあとは『トランスフォーマー』に期待
 

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 極 ┃   ┃ ┃      ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┗━━━━┓ ┃2007.7.20
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No.┃    ┃     ┃ ┃不定期刊
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◎ 公開中の新作から……… 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』 2007年度作品
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 監督:吉田大八 原作:本谷有希子(戯曲)
 出演者:佐藤江梨子/佐津川愛美/永瀬正敏/永作博美/山本浩司/土佐信道/上
田耕一 ほか

 狂気の映画。4人の主人公がそれぞれの狂気をぶちまける。

 女優として特別の才能があるとカン違いしてるテレビ女優の姉、澄伽(佐藤江梨
子)。姉を漫画のネタにして漫画家デビューしてしまった妹、清深(佐津川愛美)。
澄伽に精神的に支配され、暴力が妻に向かう腹違い種違いの兄、宍道(永瀬正敏)。
天然系で、呪いの人形作りが趣味の超ブリッコの兄嫁、待子(永作博美)。

 突出してるのは澄伽だ。女優として大成できないのは、財政的に厳しくなって仕送
りを止めると言っている兄のせい。漫画のネタにして晒し者にした妹のせい。事務所
の売り込みが悪くて力を出せていないせい。「私バイトまでやってるのよ! こんな
ことって、あり?」などとほざくのだ。オーディションで、「私が実力を発揮できな
いのはあんたたちのせいだ」と、審査員に逆ギレしてしまったのには、笑っていいの
か、怒っていいのか、それとも呆れていいのか。

 佐藤江梨子はもともと喜怒哀楽の激しい演技しかできない大根なので、大根女優役
はピタリとはまっている。キレたときの暴走ぶり、鬼のような形相、はまっていて迫
力がある。おそらく彼女以上にはまれる役者はいないと思う。

 しかし個人的に最も苦手なのは兄嫁タイプだ。何をされても平身低頭。卑屈に媚を
売りまくるこの手の人が大の苦手。しかし普通の人は家族に対して横暴の限りをつく
す澄伽に怒り、「殺せ!」とわめきたくなるだろう。僕も、この女が一発大逆転で地
獄に堕ちるのを期待して観たのだ。

 妹の清深に対してはピタリと波長が合った。創作者の業(ごう)を見た。姉に精神
的肉体的暴行を受けつつ、恨みをペン先にほとばしらせる。両親の陰惨な事故死すら、
ホラー漫画のネタにしてしまおうとする精神性に、似通ったものを感じる。

 4人はデフォルメされてはいるけど、それぞれ実世界にいる人たちばかりだ。それ
がこのブラックコメディに力を与えている。ところで、あなたはどのタイプかしら。



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◎ このあとの、観ちゃっていいのかな?映画
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『ストーン・カウンシル』
 8月4日公開(京都) 2006年度作品 監督:ギヨーム・ニクルー

 ジャン=クリストフ・グランジェ原作によるフランスのホラー・サスペンス。

 モンゴルの秘密結社から養子を守るために闘うのがモニカ・ベルッチ。内容はとも
かく、フランスのホラーは米国のホラーと違って、予定調和を壊すところがあって、
油断ならない。



『イノセント・ワールド 天下無賊』
 公開日未定 2004年度作品 監督:フォン・シャオガン

 アンディ・ラウ主演の香港アクション。と思ったが、中国映画になるらしい。しか
もラブストーリーがメインのような。

 ストーリーを知らないまま観るつもりだが、エッジの立った映像作品の気配が濃厚。
これは外せない。



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◎ 映画雑談……… 最近の、気になる「カオ」!
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高橋真唯(たかはし・まい)
 1984年2月23日生 福岡県出身

 スクリーンの中で見るたび、「あれっ、誰だっけ」をくり返してしまう女優。個性
的なフェイスなのに、映画を観てる間、わからない。エンドクレジットを見ては、そ
のつどひざを打ちまくる。ひざが痛い・・・。

 過去に見た出演作は『妖怪大戦争』『シムソンズ』『ストロベリーショートケイク
ス』『黄色い涙』『歌謡曲だよ、人生は』の5本(見た順)。役柄は、河童・田舎の
高校生・新米の編集者・狂女・マドンナ。出るたびに雰囲気が大きく変わる。そして
必ずその役柄にフィットしている。ぶっきらぼうな顔が、するっと役柄を呑み込んで
でもいるように。

 これだけ見れば、もういくらなんでもしっかりお顔がインプットされてしまってい
る。次に見かけたときこそは、「あっ、高橋真唯だ!」とわかる・・・と、思うんだけ
ど。



市川実日子(いちかわ・みかこ)
 1978年6月13日生 東京都大田区出身

 『blue』『とらばいゆ』『伝説のワニ ジェイク』『いま、会いにゆきます』
『ダメジン』『嫌われ松子の一生』『ユメ十夜』『世界はときどき美しい』『吉祥天
女』(だいたい公開順)

 ユニークなフェイスで、こちらは一度見ただけでしっかりインプットされてしまい、
思い出せないことは一度もない。お姉さんの市川実和子もユニークだが、映画界では
影が薄い。たぶんそれは演技センスの差、演技に対する意欲の差だろう。市川実日子
の演技は積極的であり、みずからユニークな立ち位置を確保している。

 彼女は飄々と一人わが道を行く、みたいなキャラが似合っていると思う。そこんと
ころにいちばんフィットしてたのは『吉祥天女』だった。やりたいことをやってるだ
け、みたいな感じで、未熟な主役連を食っていた。

 俳優で映画を観ない僕だけど、『ユメ十夜』は劇場予告の彼女を見て、観る気にな
った。



 若手男優には、「ちょっと見はいいけど奥行きがない」という顔が多い。典型的な
のは松山ケンイチ、勝地涼、加藤晴彦あたり。同じ顔しかできないので、三回見たら
飽きてしまう。

 女優は層が厚いから必死なのか、男優がもともと横着なのか、そのへんはよくわか
りません。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 夏バテに突入してるはずなのに、創作意欲はなぜか衰えず。ヘロヘロになりながら、
何かを書こうと(描こうと)もがいている日々です。もっと時間がほしいよ。


「極楽貧乏」7.13 「タロー君が走る」
「映画未使用名曲」7.1 ブラームスの『悲劇的序曲』
「船越屋新製品」6.23 「梅雨どき速乾シューズ」
「長岡京市立図書館の棚から」6.11 北村薫『スキップ』『ターン』
「ボツ画供養塔」6.11 「渦と嵐」
「船越屋新製品」6.8 「ライスサンド」
「じふアニメ」5.15『unyuunyu』
「じべたでひろたもん」5.10 タケノコ

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』‥地獄絵の中に爽快感あり!
『地球交響曲第六番』‥‥‥‥‥音楽は神秘を感じさせると再確認
『ユアン少年と小さな英雄』‥‥エジンバラの風景とケルト音楽!
『歌謡曲だよ、人生は』‥‥‥‥‥‥粒ぞろいのオムニバスでっせ
『赤い文化住宅の初子』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥貧乏人生に幸あれ!
『吉祥天女』‥市川実日子の飄々としたキャラで救われるが、凡作
『檸檬のころ』‥‥‥‥‥‥‥谷村美月が逸材であることを再確認
『世界はときどき美しい』プライヴェート世界にどっぷり浸り込み
『しゃべれども しゃべれども』‥‥‥大笑い、これは奨められる
『監督・ばんざい!』‥‥‥大笑い、したけど人に奨めていいの?
このあとは『プロヴァンスの贈りもの』に期待
 

   ┏━━━┓ ┏━━━━━┓
 極 ┃   ┃ ┃     ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃ ┏━━━┛ 2007.6.22
 n  ┃  ┃ ┃ ┗━━━━┓
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No.┃    ┃┃      ┃不定期刊
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◎ 公開中の新作から………『しゃべれども しゃべれども』  2007年度作品
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 監督:平山秀幸 原作:佐藤多佳子
 出演者:国分太一/香里奈/森永悠希/松重豊/伊東四朗/八千草薫/占部房子/
外波山文明/建蔵/日向とめ吉/青木和代/下元史朗/水木薫 ほか

 これはもう上映終了が近い。観る予定になかったんですが、たまたま観ることにな
ってしまいました。

 6月20日のMOVIX千円の日に『ゲゲゲの鬼太郎』を観にいくつもりだったの
に、17日で終了。かわりに何かないかと思って、選んだこれが大笑いの連続。楽し
い楽しい。

 まるで売れない二つ目の落語家、今昔亭三つ葉(国分太一)が、なりゆきで話し方
教室を自宅で開くことになる。生徒に、不機嫌無愛想女、関西から来た男子小学生、
元プロ野球選手と、一癖ありそな面子が集まってくる。

 主人公の片思いの君を除き、全員、口が悪い。言いたいことをポンポン言える爽快
感。フィクションだからあれほど歯に衣着せぬことを言えるのかもしれないが、現実
でもこうした空間は、僕にとって居心地がいい。女性の顔を指さして「お前、もてね
えだろ。そんな顔してやがる」は、やりすぎだが、元野球選手に「おっちゃん、野球
クビになったんやろ。いくつクビになってん?」ぐらいは許せる。

 それぞれに厳しいところを突いてるからいい。これがピントのずれまくった物言い
では表層的な笑いにしかならず、白ける。悪口の中に"愛"があれば、なおいい。こ
の映画の中はささやかな愛が飛び交っている。

 全員が見事にキャラ立ってるが、唯一関西弁で子役の森永悠季が際立っていた。八
千草薫も久々に飄々とした軽みあるキャラクターを感じさせてくれた。

 好感度抜群な片思いの君の役者が誰か思い出せず、観ている間、真剣に考え込んで
しまった。エンドクレジットを見て仰天。『バッシング』の無愛想不機嫌ヒロイン、
占部房子だった。変われば変わるものだ。



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◎ このあとの、「とっても気になる映画」
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『転校生 さよならあなた』
 6月29日公開 2007年度作品 監督:大林宣彦 原作:山中恒

 同じ監督による25年ぶりのリメイク。過大な期待は持たないようにしたい。前作
はもはや伝説と化した名作なので、比較しないようにしたい。



『きみにしか聞こえない』
 6月16日公開 2007年度作品 監督:荻島達也 原作:乙一

 公開中でした。

 パスのつもりでしたが、原作を読んでることに気づきました。昨年公開の『暗いと
ころで待ち合わせ』もそうでしたが、乙一の小説はシチュエーションの面白さで読み
手を引っ張っていく。ネタ割れしてるので、どうかなと思うが。



『アーサーとミニモイの不思議な国』
 9月?日公開 2007年度作品 監督:リュック・ベッソン

 宝探しのアドベンチャーファンタジーです。

 フレディ・ハイモアはちっとも大きくならない気がする。ほんとに子供なのか(白
木みのるではなかろうに)。同じく出演している『プロヴァンスの贈りもの』(リド
リー・スコット監督のラブストーリー!?)も、要チェック。



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◎ 映画雑話………  お犬様映画
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 ネット上に存在しないとわかれば、自分で作ってみたいというのは持病みたいなも
の。しかも犬バカですから、犬映画事典なるものを作ってみたくなる。

 数えてないが、犬の名前がついてる映画だけ集めても、100は下らないだろう。
それだけあれば事典として成り立つ。問題は犬種の不明なものが多いこと。犬好きで
も、犬種にはあまり詳しくないのです。

 映画の犬というと、最初に何が思い浮かびます? ベンジー? ラッシー? グル
ミット? スヌーピー?

 だいたいこんな事典、誰も読まない自己満足だろうね。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 電話を買い替えました。中古もらい下げだったFAX電話が急に故障。なくてもた
いして困らないもんだなと思いつつ、そうもいかないだろうと思い直す。

 夜間の無音設定のある機種で。FAXデータの内部保存容量は小さいが、どのみち
ほとんど来ない。これで13800円(NECのスピークス)。安くなったもんです。


「長岡京市立図書館の棚から」6.11 北村薫『スキップ』『ターン』
「ボツ画供養塔」6.11 「渦と嵐」
「船越屋新製品」6.8 「ライスサンド」
「映画未使用名曲」6.1 ドヴォルザーク『ドゥムカとフリアント』
「じふアニメ」5.15『unyuunyu』
「じべたでひろたもん」5.10 タケノコ
「風光明媚」5.6 サントリーの工場

『しゃべれども しゃべれども』‥‥‥大笑い、これは奨められる
『監督・ばんざい!』‥‥‥大笑い、したけど人に奨めていいの?
『あしたの私のつくり方』‥‥‥‥映像に力こもる青春映画の佳作
『ゾディアック』‥‥‥‥‥‥暗号サスペンスではなかった・・・
『リーピング』‥‥‥‥‥B級映画としてじゅうぶん満足レヴェル
『クィーン』‥‥‥‥‥知らない世界を興味深く拝見いたしました
『約束の旅路』‥‥‥‥母・息子ものでしたが、どしんと心に響く
『300』‥ツッコミもあるが、史劇アクションとして楽しめます
『プレステージ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥イリュージョンはなかった
『アポカリプト』‥‥‥‥メル・ギブソンの制作姿勢には敬服する
『ザ・シューター極大射程』‥‥‥迫真のリアリティで目が釘付け
『バベル』‥‥‥‥‥‥‥‥‥イマイチ内容をつかめなかったのだ
このあとは『パンズ・ラビリンス』に期待
 

        ┏━┓
 極 ┏━━━━┫ ┗━━━━━┓
 楽 ┃    ┃ ┏━━━┓ ┃2007.6.16
 n ┃ □ ━┫ ┃   ┣━┛
 e ┃    ┣━┫ □ ┃
 w ┃ ━━ ┣━┛   ┗━┓
 s ┃    ┃       ┃
   ┃ □ ━┫ □   □ ┃
   ┃    ┃       ┃臨時号
   ┗━━━━┻━━━━━━━┛

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◎ CINEMAテーブル懇親パーティのご案内です。
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 今回はCINEMAテーブル懇親パーティの案内を兼ねて、関係者のみに送ってい
ます。

 「年一回だけではつまらない」という意見があったし、残念ながら不参加という方
も何人かおられたので、お試しでもう一度、9月にやってみましょう。あまり盛り上
がらないようでしたら今回だけということで。

 人数は少なければ少ないでいいんです。気楽に仲良く、くっちゃべるだけ。あまり
よけいな気を使わないでやりたいと思います。

 会場は今回変わります。長岡京市にできた総合交流センターでパーティに使える場
所を見つけましたので、一度ここを使ってみようと思います。会場費も安いので、今
回はアルコールを含む飲料も、ある程度はまかなえそうです。

 9月16日(日) 午後1時より5時まで(借りてる時間帯は12時より6時)

 長岡京市総合交流センター 配膳試食室
  JR長岡京駅西口から南(大阪方向)へすぐ バンビオ1番館の6階

 参加費は千円で、一品持ち寄り。同じです。
 学生割引500円、貧民割引500円(自己申告制)。
 都合で短時間しか参加できない方も適宜割引。
 コンビニとスーパーは目の前にあり。

 駐輪場はバンビオ2番館(西側の建物)の地階で、無料。駐車場も2番館の上階に
あります(20分100円)。

 なるべく12時に開けるようにするので、早い目にきてもらうのはかまいません。
が、それ以上早く着いても、鍵がかかっておりますので入れません。

 会場費は安いので抽選は大変かと思ったけど、一人だけ(苦笑)。全室を調べたわ
けじゃないけど、年間稼働率はたぶん1割未満と思います。これだから官業はだめな
んだよね。



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◎ 公開中の新作から……… 『あしたの私のつくり方』  2007年度作品
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 監督:市川準 原作:真戸香
 出演者:成海璃子/前田敦子/石原真理子/奥貫薫/高岡蒼甫/田口トモロヲ/近
藤芳正/石原良純 ほか

 青春映画の佳作です。大仰に騒ぐほどのものではないんですが、ちょっといいよ、
とお奨めしたい映画です。

 今回の映画はローティーンの主演者二人に影響されたのか、いつになく市川準の演
出が若々しい。映像がキラキラ輝いている。

 メインの主演は成海璃子だけど、前田敦子がベテラン俳優かと思うようなぐっと抑
えた演技で心を伝えてくるのには感心した。

 成海と前田は小学生から高校生までを、まったく違和感なく演じています。卒業式
の時に一度だけ言葉を交わした小学生のときのクラスメートが、今は他県に引っ越し
てしまっている。

 高校生になって携帯メアドを知ってから、初めての友だちづきあいが始まる。その
物語なんだけど、文章で紹介してしまうと陳腐な物語になってしまいそうです。これ
は映画じたいが発散する瑞々しさを味わう映画なんだと思う。

 タイトルやチラシの写真、メインコピーが映画独自の魅力をしっかり伝えていない
のが残念です。面白い映画なのに入りが悪いというのは悲しいものです。



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◎ このあとの、観ちゃっていいのかな?映画
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『檸檬のころ』
 6月30日公開(京都) 2007年度作品 監督:岩田ユキ 原作:豊島ミホ

 女高生二人の青春映画。榮倉奈々と谷村美月が主演。だけで観る気になっている。
榮倉はまだ観たことないんですが、谷村は『カナリア』での印象が強烈で、自然と期
待してしまう。

 『あしたの私のつくり方』とはまた違ったテイストの青春が楽しめそうです。



『ジーニアス・パーティ』
 7月?日公開(京都) 2007年度作品 監督:福島敦子ほか、7人のクリエイ
ターによるアニメ・オムニバス

 予告篇を見た限りではテンションが高そうだ。全部が全部気合いが入りすぎてるよ
りは、『TOKYO LOOP』のしりあがり寿みたいに、「抜けた」のがあるほう
がいいのだが。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 FAX電話が壊れてしまいました。現在、電話が不通。21日には開通予定ですが、
とりたてて不便を感じません。なしですませられないかと、一瞬考えてしまいました。

 最近は電話番号を知らない友人が増えてきました。時々会ってるのに、電話番号も
住所も知らない人がいることに気づく。FAXが入ったころはよくやりとりしたもの
ですが、今は画像もメールで送れるようになったので、さっぱり存在感がなくなって
しまった。


「長岡京市立図書館の棚から」6.11 北村薫『スキップ』『ターン』
「ボツ画供養塔」6.11 「渦と嵐」
「船越屋新製品」6.8 「ライスサンド」
「映画未使用名曲」6.1 ドヴォルザーク『ドゥムカとフリアント』
「じふアニメ」5.15『unyuunyu』
「じべたでひろたもん」5.10 タケノコ
「風光明媚」5.6 サントリーの工場

『監督・ばんざい!』‥‥‥大笑い、したけど人に奨めていいの?
『あしたの私のつくり方』‥‥‥‥映像に力こもる青春映画の佳作
『ゾディアック』‥‥‥‥‥‥暗号サスペンスではなかった・・・
『リーピング』‥‥‥‥‥B級映画としてじゅうぶん満足レヴェル
『クィーン』‥‥‥‥‥知らない世界を興味深く拝見いたしました
『約束の旅路』‥‥‥‥母・息子ものでしたが、どしんと心に響く
『300』‥ツッコミもあるが、史劇アクションとして楽しめます
『プレステージ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥イリュージョンはなかった
『アポカリプト』‥‥‥‥メル・ギブソンの制作姿勢には敬服する
『ザ・シューター極大射程』‥‥‥迫真のリアリティで目が釘付け
『バベル』‥‥‥‥‥‥‥‥‥イマイチ内容をつかめなかったのだ
このあとは『パンズ・ラビリンス』に期待
 

   ┏━━━┓ ┏━━━━━━┓
 極 ┃   ┃ ┃      ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃ ┏━━━━┛2007.6.2
 n  ┃  ┃ ┃ ┗━━━━┓
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 w  ┃  ┃ ┗━━━━┓ ┃
 s  ┃  ┃      ┃ ┃
   ┏┛  ┗┓┏━━━━┛ ┃
No.┃    ┃┃      ┃不定期刊
   ┗━━━━┛┗━━━━━━┛

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◎ 公開中の新作から……… 『クィーン』  2006年度作品
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 監督:スティーヴン・フリアーズ
 出演者:ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、ヘレン
・マクローリイ、アレックス・ジェニングス、シルヴィア・シムズ

 またしても上映終了映画。もっと早く観ておくべきでした。

 ダイアナ妃事故死のあとの王室の危機を描いている。ダイアナ妃の過剰ともいえる
人気への嫉妬心もあって、女王は「あれはよそのお方ですから」と、筋を通して黙殺
を決め込もうとする。それは冷たいと英国民が怒るのもわからなくはない。

 英国王室に関して疎いので、見るものすべてが珍しく、楽しい。女王がガニ股歩き
なのは初めて知った。「買い替えたら」と言われても「まだ動くから」と、女王がオ
ンボロ四駆を運転して一人で出かけるのも新鮮な驚き(途中で事故ってしまうが)。

 日本の風習だって外国から見れば、奇妙で不可解なものは数多くあるだろう(関取
のちょんまげなどは、日本人の僕から見ても、変)。英国王室では高齢の王族たちが
チェックのスカートをはいてうろちょろしている。笑いを抑えるのが苦しい。似合っ
てないって!

 政府と王宮との裏の駆け引きやあつれきなども、新聞報道などでは知りようもない
ので面白い。近過去で、あらかた存命してる王室・政府関係者の迷惑顧みないズケズ
ケ描写も面白いし、チャールズ皇太子をあからさまにイヤミでゲスな野郎に描いてる
のも大丈夫なのかと思う(あちらでは不人気な人なのか)。びびって皇室の映像化を
いっさいやらない日本から見れば、この露骨さはうらやましいほどだ。

 作品としていわんとしてることはそっちのけで、うわべのことばかりで喜んだり驚
いたりしている。僕にとってはそれだけで十分なので、深くは考えてない。たぶん、
ポピュリズムの問題や、国民の過度の熱狂という社会現象を冷徹に見据えようという
意図があるんだとは思うが。

 女王役のヘレン・ミレン。米国アカデミー賞の主演女優賞を獲得したが、彼女一人
が突出した演技を見せているわけではない。メインの役者たちすべてに対して贈呈さ
れたものと解釈すべきだろう。

 ヘレン・ミレンがこの前に出た『サイレンサー』も公開されるが、彼女はスナイパ
ーで殺し屋役だ。こっちのほうも観てみたい。



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◎ 映画雑話……………  外国映画の中の日本語
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 外国映画の原題を調べてると、NinjaとかSamuraiとかGeishaとかKarateなどがよ
く登場する。どんな日本語が世界で流通してるのか、気になって調べています。

 日本食ブームを反映して、食べ物関係が最も多そうです。SashimiとかSukiyakiはわ
かりますが、KaisekiとかOyako-donなんて、通じるんだろうか。NamasuやSuimono
に至っては一部の好事家のみに知られてるだけという気がする。

 そのうち「海を渡った日本語 Japanese Words Dictionary」という英語ページを作
って、よりいっそうの日本語の普及をめざそう、なんてことを非右翼の愛国者は考え
ています。英語で意味を説明しなければならないんですから、最大のネックは僕の英
語能力ですね。



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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『ゾディアック』
 6月16日公開 2007年度作品 監督:デヴィッド・フィンチャー

 実際に起きたゾディアック事件をもとにしたサスペンス。暗号文サスペンスだ。

 未解決事件だったと思う(間違ってたら指摘して)。それをどういうふうにして緊
迫感あるドラマとして構成してるのかな、ということが気になる。



『吉祥天女』
 6月30日公開(京都) 2007年度作品 監督:及川中 原作:吉田秋生

 原作を読んでないのでどんな話なのかさっぱりわかりません。

 興味あるのは原作者と主演の二人(鈴木杏・本仮屋ユイカ)だけです。今のところ
は。



『あしたの私のつくりかた』
 6月9日公開(京都) 2007年度作品 監督:市川準

 この映画は美形の成海璃子より、助演で引き立て役?の前田敦子のほうがよさそう
です。予告篇では少なくとも前田が勝ってたと思う。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 5月は映画を15本。映画館が8本で試写会が4本、レンタルDVDが3本でした。
下に挙げてるのは先月映画館と試写会で観たものです。

 ヤフーの関西お気楽シネマという掲示板のメンバーの一人が、余った(ダブった)
試写状をまわしてくれるようになったんです。おかげでわずかな経費負担でより早く
観れるようになりました。試写会では今のところ傑作といえるほどのものに出くわし
ていません。次の試写会は『ゾディアック』。これはどうでしょう?


『リーピング』‥‥‥‥‥B級映画としてじゅうぶん満足レヴェル
『クィーン』‥‥‥‥‥知らない世界を興味深く拝見いたしました
『約束の旅路』‥‥‥‥母・息子ものでしたが、どしんと心に響く
『300』‥ツッコミもあるが、史劇アクションとして楽しめます
『プレステージ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥イリュージョンはなかった
『アポカリプト』‥‥‥‥メル・ギブソンの制作姿勢には敬服する
『ザ・シューター極大射程』‥‥‥迫真のリアリティで目が釘付け
『バベル』‥‥‥‥‥‥‥‥‥イマイチ内容をつかめなかったのだ
『楽日』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥寡黙で情熱あふれる映画でした
『ツォツィ』‥‥‥‥‥‥演出のシャープさが光る青春映画の佳作
『こま撮りえいが こまねこ』‥‥‥‥‥かわいいね、こまちゃん
『ラッキーナンバー7』裏があるなと思ったが、きっちり騙された
『東京タワー〜』‥‥‥‥‥‥母・息子ものは、やはり性に合わず
『黄色い涙』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥誰にも感情移入できない
このあとは『ゾディアック』に期待
 

   ┏━━━┓ ┏━┓┏━┓
 極 ┃   ┃ ┃ ┃┃ ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃ ┃┃ ┃ 2007.4.29
 n  ┃  ┃ ┃ ┃┃ ┃
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No.┃    ┃   ┃ ┃ 不定期刊
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◎ 公開中の新作から……… 『ロッキー・ザ・ファイナル』  2006年度作品
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 監督:シルヴェスター・スタローン(脚本も)
 出演者:シルヴェスター・スタローン、ジェラルディン・ヒューズ、バート・ヤン
グ、アントニオ・ターヴァー、マイロ・ヴィンティミリア、トニー・バートン、ジェ
ームズ・フランシス・ケリー三世、アンジェラ・ボイド

 観てから昨年度の作品と知った。2006年度のアカデミー賞作品賞を獲っても不
思議はなかったと思う。ただし僕の米アカデミー賞に対する認識は「まあ、あんなも
んだ」なので、過大な評価と思わないでほしい。

 僕がシリーズ中で唯一観ていた第一作は、30年も前の映画です。なので厳密な比
較はできないけど、新作(第六作)は第一作を超えたのではなかろうか。

 第一作はアメリカンドリームを体現していた。新作は、人生の夢は何歳になっても
終わることはない、ということを明確に打ち出している。とはいえ、還暦に近いロッ
キーをチャンピオンと対戦させるのは相当無理がある、と思いきや、じゅうぶん説得
力あるストーリーを作っているではないか。スタローンは明らかに映画制作者として
成熟してきている。

 映像も隅々まで充実していて、まるでよくできた日本映画のようだ。主役は老ボク
サーのロッキー・バルボアだが、裏主人公として配されている、社会の底辺に生きる
人々に対する目配りが優しく、心にしみる作品になっている。

 ヒロインは第一作でチンピラ小娘だったジェラルディン・ヒューズ。それから30
年たって、同じ配役として登場する。美人とは言えない中年女性。ロッキーは彼女に、
自分に対して自信を持つよう説得する。この説得はもちろん、観客全体への説得でも
ある。

 絶賛ばかりというわけではない。試合のシーンでは、スタローンのパンチにスピー
ドがないのが見えてしまう。息子(マイロ・ヴィンティミリア)に対する扱いは、ま
るで子離れ親離れできない親子のようで感心しない。ジャマイカンの青年(ジェーム
ズ・フランシス・ケリー三世)の使い方も中途半端になって、登場する意味がなかっ
た。

 ちょっとケチはつけたが、作品の魅力はそれを上回っています。

 来年は『ランボー4』ですと。それこそ、年寄りの冷や水・・・


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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『ロストロポーヴィチ 人生の祭典』
 6月?日公開(京都) 2006年度作品 監督:アレクサンドル・ソクーロフ

 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ。訃報が昨日入りました。現在のチェリスト
で最も有名な人と言っていいでしょう。

 さほど熱心に聴いていたわけではないので、にわか信者みたいなお悔やみは申しま
せん。それでもいいタイミングでの公開なので、観てみようかなと思います。ソクー
ロフはどういう角度でこの演奏者をすくい取ったのでしょうか。



『テラビシアにかける橋』Bridge to Terabithia
 公開未定 2007年度作品 監督:Gabor Csupo
  原作:キャサリン・パターソン

 ディズニーの実写映画です。同名原作の二度目の映画化ですが、一作目は日本で未
公開。この2本目も来るかどうかわかりません。が、観たい。すっごく評判がいい。
今年度のアメリカ映画のベストワンかもしれない。

 原作はまぎれもない傑作です。思春期の青春を描いた傑作です。

 本の紹介は下のページに書いてます。
 http://funakoshiya.net/old/toshokan001.htm#Terabithia



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◎ 映画雑話……… 脇役列伝・男優篇 その2
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上田耕一(うえだ・こういち)1941年4月2日生

 上田耕一は僕が観てる映画だけで30本はある。最も多く見てる俳優の一人のはず
なのだけど、どの映画ではどんな役だったのかをほとんど忘れている。日本映画に欠
かすことのできないバイプレーヤーだけど、あまりにもスクリーンになじみすぎて浮
き立たないという、かわいそうな人です。

 『「さよなら」の女たち』や『OL百合族19歳』では、ヒロインを相手にして、
主役を食ってる印象がありましたが、はっきり思い出せるのはそれぐらいです。

 やや地味なおじさん役者なので、名前を挙げてもわかる人は少ないと思います。平
成ゴジラ・シリーズの顔、といったらわかるかな? 毎回役は変更になるが、必ず登
場します。

 その他の主な出演作:『12人の優しい日本人』『Shall we ダンス?』
『絵の中のぼくの村』『キャバレー日記』『卓球温泉』『うなぎ』『あひるのうたが
きこえてくるよ。』



温水洋一(ぬくみず・よういち)1964年6月19日生

 温水洋一は老け顔の役者。なさけな〜いオヤジをやらせるとハマる。初めて意識し
たのは『ダメジン』だった。極限までキャラを増幅した役柄で、タイトルどおりの映
画の印象をインパクトあるものにしていた。

 こんなやつが身近にいたら、あまりに情けなくて腹立たしくて、尻を蹴り上げてし
まうだろう(ふせえりに蹴りまくられてたが)。いくら蹴られてもいっこうに性根が
治りそうにないところがもどかしい(演技なんだけど)。

 その他の主な出演作:『愛を乞うひと』『ALWAYS 三丁目の夕日』『亀は意
外と速く泳ぐ』『夜のピクニック』『東京日和』



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 たった6日で次のメルマガを出すことになるとは思わなかった。このあとの映画も
気が抜けない。疲れ・・・・。
 

   ┏━━━┓ ┏━━━━━━┓
 極 ┃   ┃ ┃      ┃
 楽 ┗┓  ┃ ┃ ┏━━┓ ┃2007.4.23
 n  ┃  ┃ ┗━┛  ┃ ┃
 e  ┃  ┃    ┏━┛ ┃
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 s  ┃  ┃ ┏━┓  ┃ ┃
   ┏┛  ┗┓┃ ┗━━┛ ┃
No.┃    ┃┃      ┃不定期刊
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◎ 公開中の新作から……… 『神童』  2007年度作品
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 監督:萩生田宏治  原作:さそうあきら(コミック)
 出演者:成海璃子/松山ケンイチ/手塚理美/甲本雅裕/串田和美/浅野和之/キ
ムラ緑子/貫地谷しほり/西島秀俊/吉田日出子/柄本明/三浦友理枝/清塚信也

 実を言うと、たいして期待してなかった。監督の前作『帰郷』は評判いいが、観て
いない。

 『神童』は成海璃子と松山ケンイチを主演にもってきた時点で、90%ほどは成功
が保証されたのではなかろうか。この二人、今までの映画で見かけたことがあるはず
だけど、記憶にない。この映画で初めて知ったに等しい。

 『あしたの私のつくり方』(監督:市川準)の予告篇で主演の成海を見たが、天才
的な演技力というにはほど遠い。むしろ、大根と言ったほうが近かった。『神童』で
は二人のキャラをよく生かしている。ベテランの市川準より、新人に近い萩生田監督
のほうが若い二人の生かし方を心得ているようだ。

 ピアノの神童である13歳のうた(成海)が、音大受験のために必死でピアノの練
習をする19歳のワオ(松山)に向かってひと言、「ヘッタクソ!」。このひと言が
映画の心を代弁している。年下の女子中学生に頭が上がらない音大浪人男という構図
は、心をくすぐるものがある。

 僕は二人の成長物語という側面にはあまり関心がない。エピソードの組み立てや音
楽の選び方、鮮やかな映像のすくい取り方に魅せられている。ピュアで美しいお伽噺
を見せられているようで、心地いい。気持ちよく作品世界に浸ることができた。

 原作のコミックがどんなふうだか知らない。音楽も動く映像もなしにこの世界が語
られるなんて、信じられない。僕はこれを心の中ではオリジナル作品と位置づけてい
る。


 同じ日、続いて観た香港マフィア抗争もの『エレクション』(監督:ジョニー・ト
ー)のほうが作品としての完成度は上だと思う。こちらは闇の世界、『神童』は光り
輝く世界。どちらもが対照的な魅力を放ってるとはいえ、『エレクション』は陰惨で
後味の悪い結末が用意されている。どちらをお奨めしたいかというと、結論は当然で
すわな。

 ワオが弾いていた『熱情』第3楽章をクラウディオ・アラウの演奏で聴いています。
この曲の選択もまた、なかなかGood!なんですよ。



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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『しゃべれども しゃべれども』
 5月26日公開(京都) 2007年度作品 監督:平山秀幸

 『愛を乞うひと』の平山監督の最新作。このところ、日本映画ばかりになってきて
いる。なんだかんだいっても、今は日本映画がいちばん元気なのだから、しかたない。

 新人の落語家の話だけど、キャストになじみの薄い顔が並びすぎることが難点だ。
題材も、漫才など、他の芸人ものなら無条件でとびついただろうけど・・・。



『ロッキー・ザ・ファイナル』
 4月20日公開 2006年度作品 監督:シルヴェスター・スタローン

 公開中なんだけど、やたら評判がいい。原点に戻って、武闘派から人情ものへ回帰
しているみたい。

 一作目しか観てない僕だけど、これは面白そうかと期待している。



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◎ 映画雑話……… 日本の若手女優、百花繚乱
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 日本の若い俳優は男のほうもそれなりに出てきてると思うけど、やっぱり女優のほ
うに目が向いてしまう。次から次へと有望新人が登場するので、先輩たちも気が抜け
ないんじゃないかな。

 彼女たちの中ですでに日本の女優のトップクラスにのぼりつめた感のある蒼井優、
上野樹里、宮崎あおい、池脇千鶴、柴咲コウ(全員二十代)。それに続くクラスに、
沢尻エリカ、田中麗奈、鈴木杏、広末涼子、深田恭子、香椎由宇、土屋アンナ、上戸
彩、小西真奈美、松たか子、竹内結子、奥菜恵、岡本綾(同じく全員二十代)。さら
に若い十代にも有望な若手や新人がひしめいている。長澤まさみ、堀北真希、多部未
華子、谷村美月、榮倉奈々、成海璃子、大後寿々花。最も若い大後は1993年生まれの
13歳ですが、子役という印象はありません。

 どの女優も、若くして確固たる存在感と個性と魅力を持っている。かくして、女優
を見るために映画館へ通うという、情けないのめりこみ状態になってしまうのであっ
た・・・。

 今年の新作をちょっとだけ並べてみよう。
 大後寿々花『セクシーボイスアンドロボ』TV
 成海璃子『神童』『あしたの私のつくり方』『きみにしか聞こえない』
 榮倉奈々『僕は妹に恋をする』『檸檬のころ』『渋谷区円山町』
 谷村美月『檸檬のころ』『ユビサキから世界を』
 堀北真希『アルゼンチンババア』『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
 多部未華子『俺は、君のためにこそ死ににいく』『西遊記』
 土屋アンナ『さくらん』
 小西真奈美『叫』
 松たか子『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
 岡本綾『天国は待ってくれる』
 柴咲コウ『どろろ』『舞妓Haaaan!!!』
 奥菜恵『おいしい殺し方』
 香椎由宇『黄色い涙』
 鈴木杏『吉祥天女』
 蒼井優『蟲師』『鉄コン筋クリート』
 長澤まさみ『そのときは彼によろしく』
 宮崎あおい『初恋の雪/ヴァージン・スノー』

 全部観てみたいもんですけどね。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 今週はダレまくりで、疲れて寝てばかりでした。どうしたのかな。

 というわけで、あとがきも特になし。


「長岡京市立図書館の棚から」4.17『森に消える道』
「リンクコーナー」4.15 英国のレーベルHyperion Records
「映画未使用名曲」4.1 ドヴォルザークのチェロ協奏曲
「船越屋新製品」3.31 「害虫OUTプランター」

『エレクション』‥‥‥‥マフィア抗争ものに新たな鉱脈を発見!
『神童』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ピュアで美しいお伽噺にはまりこみ
『バッテリー』‥‥‥わざわざ劇場まで足を運ぶ映画ではなかった
『叫(さけび)』‥‥‥‥固まりまくった怖〜いサスペンスホラー
『蟲師』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥満足水準の純和風伝奇ファンタジー
『アルゼンチンババア』‥‥‥‥‥‥‥堀北真希を見る映画だった
『TOKYO LOOP』日本の実験アニメの最先端が揃ってます
 

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◎ 公開中の新作から……… 『叫(さけび)』  2007年度作品
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 監督:黒沢清(オリジナル脚本も)

 またもや、遅すぎの公開終了映画です。

 出まくりの出過ぎの役所広司。『アルゼンチンババア』など、彼でなくてもよかっ
た。この『叫』も、どうしても彼でなくてはならない、というものでもない。彼以外
の配役がそうとうに贅沢で、それに魅かれて観たのだった。

 連続殺人事件を追う刑事(役所広司)が、本星ではないかと疑いをかけられる。彼
は身に覚えがないのだが、事件に痕跡を残している。おまけに死んだ女の幽霊が取り
憑いてくる。行く先々に現われる。捜査に協力しようとするわけではないが、結果的
には事件を解決に導いていく。

 彼女はけっして解決してほしくて刑事につきまとったのではない。なぜ取り憑くの
か。どこに刑事との間の接点があるのか。彼は何をしたのか。この映画は幽霊と人間
との関係性に新たな側面を提示している。

 赤い服を着た幽霊を葉月里緒奈が演じている。この配役はベストです。『口裂け女』
のバリバリメイクの水野美紀も迫力あっておそろしかったが、素のままの葉月里緒奈
はそれを上回る。無気味さのド迫力。そうとうに怖い。口裂け女と違い、リアルな怪
物になっている。これは、ミステリーをベースにしたホラー映画なんです。

 この幽霊は都会の荒廃が生んだ都市妖怪のようでもある。舞台となる東京湾岸が、
主役となりうるほど印象的な「顔」を見せてくれる。このあたりなら人間の怨念が何
かの形となって現われてもおかしくはない、という気配を感じさせる。美術や撮影な
どの技術スタッフの力と思う。日本映画は伝統的にそうなんだけど、気配を表現する
のがうまいな。

 この映画は再度観てみたい。観客を欺くミスディレクションが随所にあり、それを
再確認したい。ミステリー映画なのでストーリーを詳しくは書けない。思わぬ結末が
立ち現れてくるので、騙されたつもりで観て、騙されてください。

 ハリウッドでリメイクされるだろうか。この作品はハリウッドテイストでは料理し
づらいだろう。人の心の闇と幽霊の関係性。そういうものを描いたハリウッド映画は
あったかな。


 その他の出演者:小西真奈美/伊原剛志/オダギリジョー/加瀬亮/平山広行/奥
貫薫/中村育二/野村宏伸


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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『神童』
 4月21日公開(京都) 2007年度作品 監督:萩生田宏治 原作:さそうあきら

 一年の間に、はっと目を引くほど美しいチラシが一枚か二枚出てくる。『神童』の
チラシが美しいと言うと、「どこが?」とつっこまれるかもしれないが。

 ピアノの前に立つ成海璃子と、座っている松山ケンイチの写真だ。成海璃子は『妖
怪大戦争』に出ていたらしいが、記憶にない。松山ケンイチは『リンダ リンダ リン
ダ』に出ていたらしいが、これまた記憶にない。

 さそうあきらの漫画の映画化ということですが、漫画は知りません。13歳の天才
的なピアニスト(成海)と、落ちこぼれの音大生(松山)のお話で、全編クラシック
音楽が映画を彩ります。



『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
 4月14日公開 2007年度作品 監督:松岡錠司 原作:リリー・フランキー

 オカン(樹木希林)の若い頃を演じるのが内田也哉子。樹木希林の面影があって若
くて美人。よくこんな俳優を見つけてきたなと感心してたら、実の娘だった(おまけ
にデビュー作)。

 母恋ものだというのが個人的にネックになってるが、これは観てみたい。



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◎ 映画雑談……… 妖怪映画
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 今年の日本映画は妖怪変化が多数出没する。

 『どろろ』『ゲゲゲの鬼太郎』『蟲師』『口裂け女』『大帝の剣』『憑神』『魍魎
の匣』『叫』『怪談』『カッパのクゥと夏休み』。まだまだあるかも。

 昨秋、若い人向け+大泣き+恋愛の日本映画が大挙して公開され、『涙そうそう』
以外は全部共倒れになった。今年は公開時期もまちまちだし、カラーもさまざまなの
で、あのくり返しだけは避けられるのではないかな。

 ホラーも妖怪も好きですので、いろんなものがたくさん出てくるのは大歓迎です。
『着信アリ』『リング』などの東宝系ホラーだけではつまらない。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 3月18日のCINEMAテーブルのパーティは、二次会のみの方を含めて13人
の参加がありました。思った以上に盛り上がりました。

 参加者は以下のとおりでした(敬称略)。吉岡ゆみ、森本がん太、西岡芽美、森田
純夫、横谷佳子、酒谷佳子(砂岸あろ)、稲岡寛子、酒谷加奈、酒谷薫、安田直紀、
安田典子、船越聡、犬塚芳美。男性が5人と少ないのはいつものことです。

 いない人をサカナにしては、爆発的に盛り上がってました。欠席者は要注意。

 出た話で印象に残ったのは、ネットの星取り表は点数の低いものを読む、という話。
点の高いのはどうせありきたりなことしか書いてないけど、低いのは面白い、という
ことでした。そういや僕も無意識的に点数の低いのを優先的に読んでいた。酷評のほ
うが書き手の本音が出やすいということもあるでしょう。読んでいて楽しいのです。
そればかりでは映画がいやになってきますけどね。


 年一回だけでは物足りないという声もあり、考え中です。今年は9月にもう一回や
ってみましょうか。定例化するとマンネリになりかねないし、とりあえず今年だけと
いうことで。

 それ以外にも何か企画がありましたら逐次案内しますし、別種の企画がありました
ら、連絡ください。


『叫(さけび)』‥‥‥‥固まりまくった怖〜いサスペンスホラー
『蟲師』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥満足水準の純和風伝奇ファンタジー
『アルゼンチンババア』‥‥‥‥‥‥‥堀北真希を見る映画だった
『TOKYO LOOP』日本の実験アニメの最先端が揃ってます
『口裂け女』‥‥‥‥‥‥‥‥迫力満点の口裂け女にビビリました
『秒速5センチメートル』ヴィジュアルすばらしい、やりすぎかも
『愛されるために、ここにいる』私的にはラブストーリーの最高作
『善き人のためのソナタ』監視国家を舞台にしたサスペンスの秀作
『墨攻』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥重厚でリアルな戦闘映画の傑作
『幸福な食卓』‥‥‥映画になかなか入れなかったが、悪くはない
『鉄コン筋クリート』‥‥‥久方ぶりの日本アニメの快作と言える
『悪夢探偵』‥‥‥‥‥‥‥‥暗すぎる、少しはユーモアもほしい
『ストロベリーショートケイクス』まごうことなき青春映画の傑作
このあとは『神童』に期待
 

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◎ 公開中の新作から……… 『愛されるために、ここにいる』  2005年度作品
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 監督:ステファーヌ・ブリゼ
 出演者:パトリック・シェネ、アンヌ・コンシニ、ジョルジュ・ウィルソン

 今年は矢継ぎ早に秀作傑作が公開される。またしても見逃すべきでない映画を一本
見つけてしまった。

 主人公は中年の法執行官。50歳という設定だけど、そうは見えない。70近い老
人に見えるのだけど。しかも男前じゃない。色気があるわけでもない。

 そんな男が三十代後半のチャーミングな女性と出会って恋をする。そういうのって、
成立しうる恋かな?と、かなり疑問を感じた。なのに、気がついたらどっぷりはまり
こんでしまっていた。

 僕にとって感情移入できるタイプじゃない。しかし彼の高鳴る鼓動が直接体に伝わ
る。戸惑い、願望、ためらいなどの、少年のようなヴィヴィッドな思いが伝わる。

 二人はタンゴ教室で出会う。二人の踊るタンゴがすばらしい。うまいわけではない。
でもステージでのプロダンサーの踊りより魅力を放つのだ。抑えた感情が表出する、
その力強さに巻き込まれてしまう。

 物語のキーになる登場人物がまわりに何人かいる。特に、彼の父親と、彼の秘書。
この二人が主人公と観客の背中を押すように、感動的なラストシーンへと誘導してく
れる。

 終わって、涙がこぼれた。ラブストーリーで感動して涙したのは初めてだった。涙
の味をかみしめながら、帰った。

 実はこの日、ハシゴでもう一本観るつもりだった。余韻を消すのがいやで、一本を
諦めた。『おばちゃんチップス』も、観たかったんだけどな。



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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『NARA:奈良美智の旅の記録』
 4月7日公開(京都) 2007年度作品 監督:坂部康二

 アート制作のドキュメンタリって、観たいね。完成作よりも面白いと思うよ。
 彼の個人制作の現場ではないらしい。でも、なんだか楽しそうだ。



『叫(さけび)』
 3月24日公開(京都) 2007年度作品 監督:黒沢清
    
 出過ぎの役所広司(主演)を別にしてキャスティングに魅力がある。女優は小西真
奈美、葉月里緒奈、奥貫薫。男優は伊原剛志、オダギリジョー、加瀬亮。できすぎの
キャスティングと思いません?
 出来のいい、面白いホラー(『蝋人形の館』のような)を観たいと、常に思ってま
す。



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◎ 映画雑話……… 脇役列伝・男優篇
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神戸浩(かんべ・ひろし)1963年5月28日生

 劇団彗星に変な役者がいるなあと思ってたら、映画でもそのまんまのキャラ。初め
て映画で観たのは『不可思議物語』だったと思うが、映画の中ではインパクトがあっ
た。

 その後も同じキャラを20年も続けてるのだからすごい。亜流の存在を許さない確
固たる存在感に敬意を表したい。まさかあの喋り方、私生活でもやってるとは思わな
いけどね。

 この人が何かの演技賞を獲るということは絶対ないと思っていた。基本的にどの映
画でも同じ演技だから。しかし獲ってるのだ。『無能の人』(報知映画賞最優秀助演
男優賞)や『学校2』(日本アカデミー賞優秀助演男優賞)で。いや、分かるような
気がする。妻を寝取った男の下で働く『無能の人』、精神薄弱で大小便を垂れ流して
た『学校2』。あそこまで異能のキャラを徹底すれば、世間も認めてくれるらしい。

 その他の主な出演作:『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』『Love Let
ter』『SF/サムライ・フィクション』『奇談』



三谷昇(みたに・のぼる)1932年4月9日生

 三谷さんの代表作ってなんなんだろう。キャラの印象だけ強くて、作品が頭に浮か
ばない。しいて挙げれば『寒椿』だろうか。あるいはヒロインの一人(太田あや子)
の父親だったかを演じた『女教師 汚れた放課後』か。『旅の重さ』ではお遍路さん
の役で、短いカットだったけど、印象的だった。

 ロンパリ(斜視ともいう)の俳優は、僕の知るかぎりではほかにマーティ・フェル
ドマンしかいない。あれほどあくは強くなく、さりげなく存在していて、優しい印象
を残してくれる俳優だ。

 その他の主な出演作:『私を抱いてそしてキスして』『ラブレター』『翔んだカッ
プル』『飛ぶ夢をしばらく見ない』『どですかでん』『天使のはらわた 赤い淫画』
『探偵物語』『紳士同盟』『夢野久作の少女地獄』『上海バンスキング』『獄門島』
『幸福』『宇能鴻一郎の貝くらべ』『おもちゃ』『姑獲鳥の夏』『赫い髪の女』



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 正月映画は『007カジノロワイヤル』『王の男』『麦の穂をゆらす風』『武士の
一分』『UNKNOWNアンノウン』『鉄コン筋クリート』『硫黄島からの手紙』。

 そのあとに公開されたのは『長い散歩』『ディパーテッド』『それでもボクはやっ
てない』『墨攻』『善き人のためのソナタ』『愛されるために、ここにいる』。おそ
ろしく豊作、という印象。

 これでも見逃して気になってる映画もあります。『敬愛なるベートーヴェン』『不
都合な真実』『マリー・アントワネット』。他にもあったかな。


『愛されるために、ここにいる』私的にはラブストーリーの最高作
『善き人のためのソナタ』監視国家を舞台にしたサスペンスの秀作
『墨攻』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥重厚でリアルな戦闘映画の傑作
『幸福な食卓』‥‥‥映画になかなか入れなかったが、悪くはない
『鉄コン筋クリート』‥‥‥久方ぶりの日本アニメの快作と言える
『悪夢探偵』‥‥‥‥‥‥‥‥暗すぎる、少しはユーモアもほしい
『ストロベリーショートケイクス』まごうことなき青春映画の傑作
『ダーウィンの悪夢』‥‥‥‥‥‥‥‥‥騒ぐほどの映画ではない
『ホステル』‥‥‥‥‥‥ホラーだが、『それでも〜』に負けてる
『合唱ができるまで』‥秀作だがなんと愛想のないドキュメンタリ
『それでもボクはやってない』男にとってはほとんどホラーでした
『ディパーテッド』‥‥‥‥‥‥‥‥リメイク元に負けてない秀作
このあとは『アルゼンチンババア』に期待
 

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◎ 公開中の新作から………『墨攻』 2006年度作品 中国・日本・香港・韓国合作
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 監督:ジェイコブ・チャン
 出演者:アンディ・ラウ劉徳華、アン・ソンギ安聖基、ファン・ビンビン范冰冰
     ワン・チーウェン、チェ・シウォン、ウー・マ午馬

 もう公開が終わりつつあります。出遅れ、失礼。

 原作は森秀樹のコミックだが、さらにその原作は酒見賢一の小説。コミックも小説
も読んでないので、どんなふうに変わっていってるのか知りません。エラそうに書か
ないようにしましょう。

 春秋戦国時代、強大な趙の攻撃にさらされようとした小国の梁が、戦闘集団の墨家
に助けを求める。来たのは革離(アンディ・ラウ)ただ一人だった。

 これまで香港・台湾・韓国の史劇武闘アクションをたくさん観てきたが、これがベ
ストと思う。今までので満足したのは韓国映画『MUSA 武士』1本だったけど、
これもリアリティなどの面で首をかしげる部分がいくつもあった。

 一人の英雄が大軍を相手にするという設定なので、またもや荒唐無稽なアクション
かも、と思った。劇場の予告篇の出来がすばらしく、期待を抱かせたので観る気にな
った。ゆるゆるした映像の羅列だった『蒼き狼』の予告篇とは、えらい違い。

 『墨攻』は筋立て、話の流れに納得いかない部分がほとんどない。CGも使っては
いるが、ドラマを下支えする脇に徹していて、CGが主役顔でしゃしゃり出る凡百の
アクション映画とは一線を画す。

 趙側も梁の側も、個々の人物をていねいに描いている。革離の敵は趙にではなく、
味方の梁の側にいる。そのねじれがドラマに面白い奥行きを与えてくれた。

 敵はわが側にあり、というのは個人的な各種の経験から、実感を伴います。味方ど
うしがまとまらないでバラバラになる、足を引っ張りあうというのは最悪です。

 ラストについては当然言えない。後味のいい終わり方とは言えない、ぐらいにとど
める。だからこそ深みのあるドラマとなって、余韻が残る、ということではあるけど。

 2時間を超える映画だが、もっとあってもよかったのでは、と思える。やはり原作
も読んでみるべきか。

 (蛇足)梁の国王役ワン・チーウェンは『北京ヴァイオリン』のチアン先生でした。
観ている時はまったく気づかず。あとで調べて知って、びっくりした。



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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『アルゼンチンババア』
 2007年度作品 監督:長尾直樹 原作:吉本ばなな

 堀北真希は『ALWAYS 三丁目の夕日』で注目した。ババア役に鈴木京香とい
うのもいいキャスティングだ。役所広司はちと出すぎだが。
 劇場予告でアルゼンチンタンゴが流れる。あれはなんという曲だったかと考えたが、
出てこなかった。



『愛されるために、ここにいる』
 2005年度作品 監督:ステファヌ・ブリゼ

 タンゴつながりみたいですが、もう一本。なんとなく気になるフランス映画です。



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◎ 映画雑談……… 『バブルへGo!』
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 予告篇見ました。過去へ戻って、日本を救うためにバブル崩壊を止めるというスト
ーリー設定にコケてしまいました。バブルの崩壊を止めてどーすんのよ!

 本当に止められるとして、バブル崩壊を止めたら日本が崩壊するよ。バブル経済と
いうものがどういうもなのか、作り手がぜんぜん理解してないのに唖然となる。止め
るべきなのは、バブル経済の発生です!

 当時、実態を伴わない株価が浮かれるように飛び狂ってて、異常をきわめていたの
です。日経平均株価は今の二倍以上の高値でした(今でもミニバブルかというぐらい
の水準)。あれ以降、バブルのまんまで日本経済が推移してたら? ンなことは絶対
ありえません。ヤク中にヤクを大量投与し続けるようなものです。ぶっ倒れまくって
るに決まってますがな。

 作り手がバブル経済の危険性を理解したうえで、その認識を転換したドラマを作っ
てるわけではない。単に無知なんだ。映画屋は世間知らずなんだ。

 まあこれはコメディなんだから、あんまり目くじら立てなさんな、と言われるかも
ね。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 3月18日にCINEMAテーブルの執筆者・読者の懇親パーティがあることは、
関西圏の方へはすでに連絡済です。お忘れのないよう、お気をつけください。

 なお、遠くの方でも、参加したいといわれる方がおられましたら、詳しい案内や地
図をメールでお送りしますので、連絡をください。


「長岡京市立図書館の棚から」3.1『オオカミは歌う』
「映画未使用名曲」3.1 ハイドンの弦楽四重奏曲第44番
「出版案内ページ」2.25 ひょっこり通信発行
「長岡京市立図書館の棚から」2.24『運命の子供たち』
「船越屋新製品」2.12 「ワンポイント歯ブラシ」
「長岡京市立図書館の棚から」2.10『テラビシアにかける橋』
「シネ漫コラム」2.3『長い散歩』
「長岡京市立図書館の棚から」2.2『メニム一家の物語』
「歩きMap」1.28 「南禅寺←→疎水道」

『墨攻』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥重厚でリアルな戦闘映画の傑作
『幸福な食卓』‥‥‥映画になかなか入れなかったが、悪くはない
『鉄コン筋クリート』‥‥‥久方ぶりの日本アニメの快作と言える
『悪夢探偵』‥‥‥‥‥‥‥‥暗すぎる、少しはユーモアもほしい
『ストロベリーショートケイクス』まごうことなき青春映画の傑作
『ダーウィンの悪夢』‥‥‥‥‥‥‥‥‥騒ぐほどの映画ではない
『合唱ができるまで』‥秀作だがなんと愛想のないドキュメンタリ
『それでもボクはやってない』男にとってはほとんどホラーでした
『ディパーテッド』‥‥‥‥‥‥‥‥リメイク元に負けてない秀作
『長い散歩』ハリウッドよ見習いたまえと言いたくなるほどの傑作
 

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◎ 公開中の新作から……… 『長い散歩』  2006年度作品
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   「背中に悔いを背負った男、松太郎。
    彼は傷ついた天使に出会い、旅に出る。
    しかし、社会はそれを誘拐と呼んだ。」
               |チラシより|

 監督:奥田瑛二
 出演者:緒形拳/杉浦花菜/高岡早紀/奥田瑛二/松田翔太/大橋智和/原田貴和
子/木内みどり/津川雅彦/諏訪太郎(諏訪太朗)/金山一彦/伊藤瑞花/草野達仁
/山田昌/安藤和津


 観終わって会場を出ようとした時、明るいロビーを目にし、思わずUターンした。
出たくなかった。しばらく中で座っていたかったけど、各回入れ替え制なのでそうも
いかない。

 ガツン!とくる映画に出会えることが、まれにある。だから映画館通いが止まらな
い。こんな映画に出会えたのは久しぶりのことだ。放心状態で、劇場脇の廊下の長椅
子に腰かけてたら、シーンがよみがえってきて、涙ぐんでしまいました。


 『長い散歩』はモントリオール世界映画祭でグランプリを獲ってますが、そんなも
のは参考にもならんわと思ってました。劇場の予告篇を見て気が変わりました。「な
んか気になる!」というのを感じて。

 母親(高岡早紀)に虐待され、ネグレクトされている5歳の少女さち(杉浦花菜)
は、家をとびだし、そのまま元校長の老人(緒形拳)と旅に出る。警察は誘拐事件と
みなし、二人を追いつめてゆく。

 杉浦花菜が素晴らしい。演技とは呼べない。『ミツバチのささやき』のアナ・トレ
ント同様、そのものになりきっている。天才的とか、名演技とか、そういったもので
はない。極端にセリフが少ない中、全身で「さち」を体現している。

 さちは世の中の人間すべてを拒絶している。ふと心を許し、同行することになった
老人。そして途中、いっとき青年も加わる旅の中で、人を愛し、愛される心を開花さ
せていく。そのさまが見事に描かれる。

 引き締まった美しい映像作品で、世界に誇れる日本映画だと思う。こういう作品を
どんどん外に出してほしい。


 幼稚でわざとらしいお涙映画を作りまくるハリウッドの映画人たちは、この映画を
見習いなさい。上っ面だけの映画を作る映画人たちは心を入れ替えよ、と言いたい。
万が一、この映画をハリウッドがリメイクすると言ったら、私が許さない。



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◎ このあとの、期待していい、のかな?映画
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『合唱ができるまで』
 2月公開(大阪で、京都は3月) 2004年度作品 マリー=クロード・トレユ監督

 『コーラス』や『歓びを歌にのせて』と違って、こちらはドキュメンタリ。あざと
いドラマにじゃまされず、純粋にのめりこめそう。



『悲しき天使』
 公開日不詳 2006年度作品 大森一樹監督

 コピーが「その後の恋する女たち」ではそそられない。『恋する女たち』(1986
年)はさほど面白かったという印象がない。『張込み』(1957年)のリメイクではな
いですか。高岡早紀が刑事役。それなら面白いかも。たしか、篠原涼子が刑事役とい
う新作もあったな。



『こま撮りえいが こまねこ』
 公開日不詳 2006年度作品 合田経郎監督

 にゃんかこんな映画って、にゃんとなく楽しそうにゃん。可愛いし。



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◎ 映画雑談……… 
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 2006年度「勝手に映画賞」をジャーナリストネットの掲示板に書きました。そっ
くりそのままではなく、手直しして掲載します。


<日本映画>
作品賞  :『嫌われ松子の一生』と『フラガール』
主演女優賞:深津絵里(『博士の愛した数式』)
主演男優賞:木村拓哉(『武士の一分』)
助演女優賞:蒼井優(『ハチミツとクローバー』『虹の女神 Rainbow Song』)
助演男優賞:温水洋一(『ダメジン』)
新人賞  :多部未華子(『ルート225』)
監督賞  :黒木和雄(『紙屋悦子の青春』)
気になる一本:『暗いところで待ち合わせ』

<外国映画>
作品賞  :『トンマッコルへようこそ』
主演女優賞:ブライス・ダラス・ハワード(『マンダレイ』)
主演男優賞:ダニエル・クレイグ(『007 カジノ・ロワイヤル』『レイヤー・ケ
      ーキ』)
助演女優賞:ミシェル・ウィリアムズ(『プロークバック・マウンテン』)
助演男優賞:マシュー・マクファディン(『プライドと偏見』)
新人賞  :ジョデル・フェルランド(『サイレントヒル』『ローズ・イン・タイド
      ランド』)
監督賞  :フェルナンド・メイレレス(『ナイロビの蜂』)
気になる一本:『ディセント』


 作品賞で、『長い散歩』は2007年度にしようかと。2006年はあまりにも作
品がそろいすぎました。

 日本の主演女優賞は6人ぐらいいましたが、無理やり一人に絞りました。深津絵里
を選んだのは、記憶の残り方の長さを尺度にしてのことです。今も心に残ってます。

 助演女優では市川実日子(『嫌われ松子の一生』『ダメジン』)も挙げておきたい。

 温水洋一(ぬくみずよういち)は中年の性格俳優ですが、『ダメジン』で決定版と
いうべきダメオヤジを演じて、感動的でした。順当なところは笹野高史(『武士の一
分』)なんでしょうけど、あえて温水を挙げたい。

 新人賞の多部未華子は前年の『HINOKIO』もですが、相手役の男子とのコラ
ボレーションが素晴らしく、大いなる可能性を感じます。多部未華子とダニエル・ク
レイグだけはまったく迷いません。ともに圧倒的な魅力があります。

 助演男優賞のマシュー・マクファディンは、『プロデューサーズ』のウィル・フェ
レルでもよかったかもしれません。

 善し悪しの尺度は「気持ちの中に残り続ける」をメインにすることにしました。だ
から、いくら出来映えに文句のつけようがなくても、思い返すことのない映画は、ど
うでもいい映画ということになります。



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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 今年は、僕にしては珍しく、正月映画をたくさん観たのです。『007 カジノ・
ロワイヤル』『王の男』『麦の穂をゆらす風』『硫黄島からの手紙』『アンノウン』
『あるいは裏切りという名の犬』『武士の一分』(観た順)。いずれも名作秀作の域
に入る映画です。なのに、観るごとに欲求不満はつのりました。

 面白いんだけど、よかったんだけど、映画館を出たとたん、急速に薄れていく。帰
り道で自然と記憶がよみがえってくるということもほとんどなく、帰ってから何をす
るかのほうへ気持ちが流れていってしまう。受け止める自分のほうがスランプなのか
な?と思いかけていました。

 『長い散歩』を観て、ようやく得心できるものに出会えた気がします。


『長い散歩』ハリウッドよ見習いたまえと言いたくなるほどの傑作
『武士の一分』‥‥‥‥‥木村拓哉のしなやかな演技を賞賛したい
『あるいは裏切りという名の犬』‥‥ずしりとくる警察映画の秀作
『アンノウン』‥‥‥‥設定のうまさを生かしたサスペンスの秀作
『硫黄島からの手紙』‥前作『父親たちの星条旗』よりはよかった
『麦の穂をゆらす風』‥‥‥‥‥理不尽さに、考え込んでしまった
『ゆれる』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥入れない分からない楽しくない
『王の男』‥‥‥‥‥‥深みのある歴史ドラマと、芸人もので満足
『パプリカ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥案の定、監督が暴走
『トランスポーター2』‥‥1より面白い、楽しい、スカッとする
『007カジノ・ロワイヤル』CG抜きのアクションが素晴らしい
Bcc: 亀甲幸子
 

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